◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
2024年3月12日/ジャマイカ、カリブ共同体(CARICOM)首脳会議、ブリンケン米国務長官(ロイター通信)

中米ハイチのアンリ(Ariel Henry)首相が11日遅くに辞意を表明し、暫定評議会に権力を移譲すると発表した。

自国から締め出されているアンリ氏は政府の公式ウェブサイトに声明を投稿。「この国はあまりにも多くの犠牲を払っている」と述べた。

またアンリ氏は「新政権樹立に向けた取り組みと総選挙を主導する大統領暫定評議会に権力を譲る」と強調した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から同国最大の武装ギャング「G9&Family」を含む複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ギャングは先月末、政府を標的とする波状攻撃を開始。刑務所を焼き払い、国際空港を閉鎖に追い込んだ。

ポルトープランスの2つの刑務所はこの攻撃で壊滅。4000人以上の受刑者が脱獄した。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

アンリ氏は訪問先のケニアから帰国できず、米領プエルトリコで対応を協議していた。

アンリ氏の辞任はカリブ共同体(CARICOM)の現議長が先に発表していた。

CARICOMの首脳らは11日、ジャマイカで緊急サミットを開き、ハイチ問題について協議している。

議長は協議の中でアンリ氏の辞任を発表。「暫定評議会が設置され、今後の対応を主導することになる」と明らかにした。

また議長はアンリ氏に謝意を表明。「CARICOMは同盟国と連携してハイチの民主主義を守るために一致団結して行動する」と述べた。

米国務省の高官によると、アンリ氏は8日に退陣を決断し、閣僚らに11日に伝えたという。

この緊急サミットにはブリンケン(Antony Blinken)米国務長官も出席。首脳らに暫定評議会の設置を求めた。

CARICOMによると、暫定評議会は7人のメンバーで構成され、選挙で選ばれた議員による新政権が発足するまでの間、大統領の権限を保持するという。

アンリ氏は先週末、国連PKOを率いるケニアのルト(William Ruto)大統領と会談。警察官約1000人をハイチに派遣する協定に署名した。

しかし、ケニアの高等裁判所は先月末、「安保理の決定に基づきハイチにケニアの警察官を派遣することは違憲である」と裁定。この裁判は現在、最高裁で争われている。

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