◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ、首都ポルトープランス(Getty Images)

ハイチ中部の刑務所から受刑者が逃げ出し、その後の銃撃戦で11人が死亡した。国家警察が16日、明らかにした。

それによると、現場は中部サンマルク近郊の刑務所。脱走した受刑者と警察による銃撃戦に発展し、受刑者11人が死亡、1人が逮捕されたという。

それ以上の詳細は明らかになっておらず、何人が脱走したかも不明である。

AP通信は関係者の話しとして、「刑務官たちは待遇改善を求めるストを行っていた」と伝えている。

それによると、一部の刑務官が受刑者の脱獄に加担した可能性があるという。

国家警察は声明で、市民に対し、不要不急の外出を控え、不審者を見た時は警察に通報するよう呼びかけた。

現地メディアによると、刑務所の近くでは銃声が何度も聞こえ、数か所から煙が立ち上っていたという。

SNSで共有された動画には荷物を持って逃げ出す住民の姿が映っていた。

この刑務所に収容されていた受刑者の数は明らかにされていない。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ハイチで刑務所襲撃が確認されたのは今年3件目である。3月のギャングによる襲撃では2つの主要刑務所がほぼ同じタイミングで攻撃を受けた。

今年初めの事件では受刑者1人が逮捕。その後、3人の警察官を含む14人が脱獄に関与したとして逮捕された。

サンマルクはポルトープランスの北に位置し、過去にも脱獄事件が起きている。

2014年12月には数十人の受刑者が鉄格子を切り裂いて脱走。当時、刑務所には500人近くの受刑者がいたとされる。

ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。

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