◎期間はギャング戦争が収束するまで。
ハイチ、首都ポルトープランス(Odelyn Joseph/AP通信)

ハイチ政府は7日、非常事態宣言と夜間外出禁止令を延長すると発表した。期間は「ギャング戦争が収束するまで」としている。

首都ポルトープランスではギャングと警察による戦闘が続いている。現地メディアによると、複数のスラム街で爆発音や銃声が聞こえ、数十人の遺体が路上に放置されているという。

政府は週末に3日間の非常事態を宣言。国家警察の権限を拡充したものの、ギャングの勢いに押されているようだ。

AP通信によると、複数のギャングが政府系機関、警察署、国際空港への攻撃を続けているという。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所がギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

攻撃が始まったのは1週間前。アンリ(Ariel Henry)首相が南米ガイアナで開催されたカリブ海首脳会議に出席した際、2025年半ばまでに総選挙を実施すると表明した直後だった。

アンリ氏はその後、国連PKOを率いるケニアを訪問。ルト(William Ruto)大統領と会談し、警察官約1000人をハイチに派遣する協定に署名した。

しかし、ケニア高裁は先月末、「安保理の決定に基づきハイチにケニアの警察官を派遣することは違憲である」と裁定。この裁判は現在、最高裁で争われており、ケニアがPKOに参加できるかどうかは不透明な情勢である。

アンリ氏は現在、米領プエルトリコで対応を協議している。ギャングはポルトープランスの国際空港を包囲しており、運航再開の目途は立っていないようだ。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から同国最大の武装ギャング「G9&Family」を含む複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

警察によると、過去数週間のギャング暴力で死亡した市民は数百人とみられ、警察官も多数死傷。1万5000人以上が住まいを失った。

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