◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ、首都ポルトープランスで行われた抗議デモ(Odelyn Joseph/AP通信)

ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの暫定評議会が大臣経験者のひとりであるベリゼール(Fritz Belizaire)氏を新首相に選出した。

ベリゼール政権は行き詰まる銃撃戦が続く首都ポルトープランスの治安を回復し、安定した新政府を樹立するという途方もない任務を負うことになった。

地元メディアによると、暫定評議会の委員9人のうち少なくとも2人がベリゼール氏のことを「全く知らない」と答えたという。

ベリゼール氏は閣僚経験者だが、ほとんど知られておらず、多くの国民がこの選出に不安と困惑を表明している。

暫定評議会は先月末発足。9人の委員はベリゼール氏を含む閣僚も指名した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、空港、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

過去1カ月で9万人以上がポルトープランスから脱出。この1年で36万人以上がホームレスになったと推定されている。

暫定評議会は議長も選出し、その後短い声明を出した。「ベリゼール氏は首相にふさわしい人物です。私たちにとって、今重要なことは国を立て直すという意志、分裂を乗り越え、対立を克服し、コンセンサスを得るという意志なのです...」

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