◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。
2024年3月15日/ハイチ、首都ポルトープランスのスラム街(Getty-Images)

中米ハイチの首都ポルトープランスにある中央銀行にギャングが押し入り、銃撃戦になった。国家警察が19日、明らかにした。

それによると、機動隊は18日、ハイチ共和国銀行(BRH)に押し寄せたギャングを撃退し、少なくとも3人を殺害したという。

AFP通信は治安筋の話しとして、「この銃撃戦でギャングの構成員最大4人が死亡、警備員1人が負傷した」と伝えている。

BRHの広報担当は地元テレビ局の取材に対し、「機動隊がいなかったら、当行はギャングの支配下に置かれていただろう」と語った。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの推定80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

BRHはX(旧ツイッター)に声明を投稿。「昨日、当行敷地付近で襲撃事件が発生。治安当局と当行のセキュリティチームが仕事に徹し、ギャングを撃退した」と書き込んだ。

BRHはポルトープランスで営業を続けている数少ない銀行のひとつである。

BRHは治安当局に謝意を表明したうえで、「さらなる攻撃に備える必要がある」と強調した。

犯行声明を出した組織は確認されていない。AP通信は情報筋の話しとして、ポルトープランスの大部分を支配するギャング「G9&Family」の指導者である元警察官の通称「バーベキュー(Jimmy "Barbecue" Cherizier)」と対立するギャングが襲撃に関与したと報じている。

負傷した警備員は病院に搬送された。報道によると、命に別条はないという。

ハイチ国家警察はバーベキューの支配下に置かれる地域の奪還を目指しているが、厳しい戦いを強いられているようだ。

先週辞意を表明したアンリ(Ariel Henry)首相の後を継ぐ「暫定評議会」の委員と暫定首相は近いうちに選出されるものとみられる。

ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。

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