◎陸軍兵士5000人以上と警察官約500人は首都サンサルバドル郊外のチャラテナンゴにある人口1万5000人ほどの町を完全に包囲した。
2022年12月2日/エルサルバドル、首都サンサルバドル近郊、陸軍の兵士(Nayib Bukele)

エルサルバドル軍と警察は17日、警察官1人を殺害したとされるギャングメンバーが潜伏する町を包囲した。

地元メディアによると、陸軍兵士5000人以上と警察官約500人は首都サンサルバドル郊外のチャラテナンゴにある人口1万5000人ほどの町を完全に包囲したという。

ブケレ(Nayib Bukele)大統領はツイッターに声明を投稿。この包囲について、「国民のために働く警察官を殺害したギャングおよび組織全体に責任を負わせるためだ」と説明した。

「彼らは大きな代償を支払うことになるでしょう...」

ブケレ氏は昨年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャングの取り締まりを強化した。

それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は6万9000人近くに達し、その大半が裁判を受けることなく刑務所に勾留されている。

非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。

また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。

国会は今週、非常事態令を1カ月延長する決議案を圧倒的賛成多数で可決した。延長は14回目である。

当局が町を封鎖したのは今回が初めてではない。

陸軍と警察の合同部隊は昨年10月、サンサルバドルの南西約30kmに位置する町を包囲し、2日間でギャングの構成員とみられる約50人を逮捕した。

さらに12月には兵士と警察官約1万人がサンサルバドル近郊のソヤパンゴを包囲した。

人権団体はこの強引な包囲・摘発を批判している。

エルサルバドルではこの1年で殺人事件が激減。長い間ギャングに支配されていた地域に住民が戻ってきた。

地元メディアが行った世論調査によると、回答者の9割が政府の「ギャング討伐作戦」を支持したという。

エルサルバドルには中米最大のギャング「マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)」の拠点がある。このギャングの構成員は7万人と推定され、長い間、同国の広い範囲を支配し、殺人や強盗を繰り返してきた。

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