◎軍と警察は3月末以降、ギャングと疑われる約1万6000人を逮捕した。
2022年4月17日/エルサルバドル、首都サンサルバドル(Getty Images/AFP通信)

エルサルバドル議会は24日、ギャングの取り締まりを強化する非常事態宣言の期間を30日間延長した。

現地メディアによると、ブケレ政権が提出した議案は賛成多数で可決されたという。

ナジブ・ブケレ大統領は先月末、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言し、軍と警察の権限を強化したうえで、刑法を改正した。

これにより、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。

AP通信によると、軍と警察は3月末以降、ギャングと疑われる約1万6000人を逮捕したという。

国連人権高等弁務官事務所を含む人権団体はブケレ政権の方針に懸念を表明し、多くの市民が外見や住んでいる地域を理由に恣意的に逮捕されていると批判した。

非常事態宣言は結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限している。

またブケレ大統領はほかにも様々な施策を打ち出している。この中で特に物議を醸しているのが刑罰の強化と刑事責任年齢の引き下げである。

ブケレ大統領は刑事責任を問える年齢を12歳以上に引き下げた。

エルサルバドル議会はブケレ大統領の政策を称賛し、今月12日にはギャングのメッセージを共有したメディア(ジャーナリスト)に10年以上15年以下の禁固刑を科す新たな刑法を賛成多数で可決した。

人権団体はこの刑法について、報道の自由を脅かす可能性があると深刻な懸念を表明している。

首都サンサルバドルの刑務所に収容されたギャングは食事を制限され、マットレスを奪われ、カエルのような姿勢で行進させられ、反抗的な者は警棒で叩きのめされている。

人権団体は政府の取り締まり強化には一定の理解を示しつつ、無実の市民が拘束される可能性を懸念している。

中米最大のギャングであるマラ・サルバトルチャ(通称MS-13)やバリオ18などの構成員は7万人以上と伝えられている。ギャングの暴力に巻き込まれた市民は数知れず、危険な地域で生活していた数千人が亡命や逃亡を余儀なくされた。

ギャングの力は貧困地域で特に強くなっていると伝えられている。ギャングは低所得者やホームレスを脅し、金を払えない者を暴行し、殺すことも珍しくない。

ブケレ大統領は人権団体の懸念を却下し、国民に「ギャングに入らない、関与しない、近づかない」という教えを子供に叩き込むよう要請している。「保護者の皆さんへ。ギャングに入ったら刑務所か死しか選択肢がないことを子供に説明してください...」

ブケレ大統領の支持率は90%近くを維持しており、ギャングの取り締まり強化もおおむね支持されているように見える。

2021年6月1日/エルサルバドル、首都サン・サルバドルの議会議事堂、ナジブ・ブケレ大統領(Salvador Melendez/AP通信)
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