◎ブケレ大統領の得票率は84.7%。与党・新思想党(NI)は国会(一院制)の60議席中54議席を獲得した。
エルサルバドルのブケレ大統領(Getty Images)

エルサルバドルの選挙管理委員会は19日、2週間前に行われた総選挙の最終結果を公表。ブケレ(Nayib Bukele)大統領を率いる政府与党の地滑り的勝利が確定した。

それによると、ブケレ氏の得票率は84.7%。与党・新思想党(NI)は国会(一院制)の60議席中54議席を獲得した。

選管は票の集計に苦労し、野党、選挙監視団、人権団体の猛反発を招いた。

自称「世界で最もクールな独裁者」であるブケレ氏は投票日当日に「異次元の勝利」を宣言。「エルサルバドルは地球の歴史上、全ての民主主義国家の選挙記録を塗り替えたのだ」と宣言した。

「民主的な選挙でこのような超圧勝を記録した政治家はひとりもいませんでした。文字通り異次元、地球の歴史上、最もとんでもない選挙、最強の得票率です!」

世界で最もクールなブケレ氏はギャング掃討作戦で同国の治安を劇的に改善させ、有権者から圧倒的な支持を得ている。

エルサルバドルの憲法は同一人物が2期連続で大統領を務めることを禁じているが、1期(5年)間隔を空ければ立候補できる。しかし、高等選挙裁判所は昨年、クールなブケレ氏の出馬を認めた。

クールな与党NIは昨年、選挙法を改正し、国会の定数を84から60に削減。ブケレ氏は「国民に尽くさない税金泥棒の政治家は今すぐ国会から出ていきなさい」とSNSに投稿し、喝采を浴びた。

ブケレ氏は2022年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャング掃討作戦を本格化させた。

それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は8万人近くに達した。その一部は裁判を受けることなく刑務所に勾留されている。

非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。

また一連の刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。

国民の大多数が殺人や麻薬関連の事件が多発していた地域からギャングが一掃されたことを歓迎している。

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