◎ブケレ大統領の対ギャング作戦は国際社会で批判を集めているものの、国内では圧倒的な支持を集め、同氏の支持率はは90%近くを維持している。
2022年8月16日/エルサルバドル、首都サンサルバドル郊外のソヤパンゴ、ギャングの構成員とみられる男たち(Salvador Melendez/AP通信)

エルサルバドル陸軍と警察がストリートギャングを取り締まる作戦の一環として、北部カバニャス県に兵士約7000人と警察官約1000人を派遣した。地元当局が1日、明らかにした。

それによると、部隊はカバニャス県全域に展開し、そこに通じる道路に検問所を設置したという。

同県では週末に警察車両が攻撃を受け、警察官2人が負傷。陸軍は事件に関与した容疑者および組織を一網打尽にすると表明している。

ブケレ(Nayib Bukele)大統領はこの事件に中米最大のギャングであるマラ・サルバトルチャ(通称MS-13)とバリオ18の戦闘員が関与したと指摘。ブケレ氏はこの両ギャングをテロリストと呼んでいる。

ブケレ氏は1日、X(旧ツイッター)に声明を投稿。「カバニャス県はテロリストの巣窟となった。テロリストは農村部に新たな拠点を作るつもりだ」と書き込んだ。「陸軍と警察の正義を追求する作戦は、そこに潜伏する全てのテロリストを見つけ出すまで終わりません...」

カバニャス県近郊で今年5月に警察官1人が殺害された時には、陸軍と警察の合同部隊5000人が配備された。

また警察は昨年発生した警察官襲撃事件に関与したとされるギャングの隠れ家を一掃し、数十人を逮捕したと伝えられている。

ブケレ氏は昨年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャングの取り締まりを強化した。

それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は7万2000人近くに達し、その大半が裁判を受けることなく刑務所に勾留されている。

非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。

また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。

首都サンサルバドルで活動する人権団体によると、一連の取り締まりで逮捕された人々の約30%が組織犯罪に関与しているという。

国会は先週、裁判を待つ数万人の手続きを簡素化する新しい規則を承認した。

ブケレ氏の対ギャング作戦は国際社会で批判を集めているものの、国内では圧倒的な支持を集め、同氏の支持率はは90%近くを維持している。

MS-13などのギャングは長い間、同国の広い範囲を支配し、殺人や強盗を繰り返してきた。

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