キューバ首都でラウル・カストロ氏の起訴に抗議するデモ、反米姿勢鮮明に
問題となっているのは、1996年に発生した民間機撃墜事件である。
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キューバの首都ハバナで22日、数千人の市民が在キューバ・米国大使館前に集まり、米司法省によるラウル・カストロ(Raul Castro)前第1書記の起訴に抗議した。デモは政府主導で行われ、参加者たちは国旗を掲げながら「ラウル万歳」「祖国か死か」などのスローガンを叫び、米国の対応を「政治的挑発」と非難した。
問題となっているのは、1996年に発生した民間機撃墜事件である。米フロリダ州マイアミを拠点とする団体「ブラザーズ・トゥ・ザ・レスキュー」の小型機2機がキューバ空軍機に撃墜され、米国人4人が死亡した。司法省は今週、当時国防相だったカストロ氏が撃墜を承認したとして、殺人や航空機破壊などの容疑で起訴した。あわせて、作戦に関与したとされる空軍パイロット5人も起訴対象となった。
共産党は今回の起訴を全面的に否定している。政府は声明で、「根拠のない政治的訴追であり、キューバ革命への攻撃だ」と反発した。抗議集会にはディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領や外相、カストロ家の関係者らも出席し、米国への対抗姿勢を鮮明にした。一方、94歳のカストロ氏本人は姿を見せなかったが、声明を通じて「革命防衛への決意」を示した。
今回の事態は近年悪化している米キューバ関係をさらに緊張させている。トランプ政権は今年に入り、キューバへの経済制裁を強化しているほか、ベネズエラ問題をめぐってもキューバへの圧力を強めている。キューバ側は米国が政権転覆を狙っていると警戒感を強めており、反米感情を背景にした動員が活発化している。
一方で、キューバ国内では深刻な経済危機が続いている。慢性的な停電や燃料不足、食料不足が国民生活を直撃し、今年3月には地方都市で政府施設が襲撃される事件も発生した。政府は国外在住キューバ人による投資解禁など経済改革を進めているものの、状況改善には至っていない。
こうした中で行われた今回の大規模集会は、単なる抗議行動にとどまらず、革命体制への支持を国内外に示す政治的意味合いを持つ。キューバ政府は歴史的に、大規模集会を通じて政権への結束を演出してきた。1994年の「マレコナソ(Maleconazo)」と呼ばれる反政府暴動以降も、当局は街頭動員を統治手段として活用してきた経緯がある。
米側は今のところ追加声明を出していないが、今回の起訴をめぐる対立は冷え込む米キューバ関係をさらに悪化させる可能性が高い。経済危機に直面するキューバ社会にとって、反米対立が今後どのような影響を及ぼすのか注目されている。
