SHARE:

キューバ経済危機、外国人観光客が激減、地域経済に打撃

共産党の統計によると、2026年初めの外国人観光客数は新型コロナウイルス流行前の水準を大きく下回っている。
中米キューバ、首都ハバナの海岸(ロイター通信)

かつてカリブ海有数の観光地として世界中から旅行者を集めていたキューバで、外国人観光客の減少が深刻化している。首都ハバナや世界遺産の古都トリニダー、ビーチリゾートのバラデロなど主要観光地では、人影のまばらな通りや空室の目立つホテルが日常の光景となり、観光業に依存してきた地域経済に大きな打撃を与えている。

共産党の統計によると、2026年初めの外国人観光客数は新型コロナウイルス流行前の水準を大きく下回っている。2026年初頭の海外からの訪問者数は約32万8000人にとどまり、観光立国として知られた同国にとって極めて厳しい状況となっている。観光業は外貨獲得の重要な柱であり、低迷は国家経済全体にも影響を及ぼしている。

背景には複数の要因がある。最大の要因が慢性的な燃料不足と頻発する大規模停電である。国内各地で長時間停電が常態化し、交通機関の運行にも支障が出ている。ホテルやレストランでは発電機に頼った営業を余儀なくされ、観光客に十分なサービスを提供できない状況が続いている。さらに、米国による対キューバ制裁の強化が航空路線やホテル運営、金融取引にも影響を及ぼし、観光産業を圧迫している。

こうした状況を受け、外国企業の撤退も相次いでいる。スペインの大手ホテルチェーン・メリア(Meliá)は15軒のホテル運営から撤退し、同じくスペイン系のイベロスターも複数の施設から手を引いた。航空会社による減便や運休も続き、カナダや欧州からの観光客の足が遠のいている。加えて、VisaやMastercardによる決済サービスの停止は旅行者の利便性をさらに低下させた。

観光客の減少は地域住民の生活にも直結している。民宿経営者やツアーガイド、飲食店経営者らは収入の激減に直面し、閉業に追い込まれるケースも増えている。ハバナ旧市街や地方の観光都市では、かつて外国人で賑わった広場や商店街が静まり返り、住民の間には先行きへの不安が広がる。観光関係者の中には国内客向けサービスへ転換する動きもみられるが、消費力の低い国内市場だけでは十分な収益を確保できないとの声が多い。

共産党は観光業の立て直しを目指し、海外在住キューバ人によるホテル運営への参入を認めるなど新たな対策を打ち出している。しかし、エネルギー不足や制裁問題が解決しない限り、本格的な回復は難しいとの見方が強い。かつて年間数百万人の旅行者を迎えた観光大国キューバは今、戦後最悪ともいわれる経済危機の中で、観光産業再建という大きな課題に直面している。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします