◎マサイ族は5年前に立ち退きを迫られた。
2022年6月17日/ケニア、首都ナイロビ、マサイ族の活動家による抗議デモ(Ben Curtis/AP通信)

タンザニアの裁判所は30日、政府によるマサイ族の土地収用に異議を唱えた原告の訴えたを退けた。

原告は政府が北部の「ンゴロンゴロ(Ngorongoro)自然保護区」で生活するマサイ族の領土1500㎢を略奪したと非難している。

ンゴロンゴロ自然保護区の広さは4000㎢にも上る。

政府は同自然保護区の自然を保護したいと説明しているが、マサイ族は政府が領土の一部をサファリパークや私的な狩猟地にするつもりだと反論している。

マサイ族は5年前に立ち退きを迫られた。

しかし、裁判所は2018年に土地収用を停止する命令を出し、政府にマサイ族への丁寧な説明を命じた。

裁判所は30日の判決で、「マサイ族は立ち退きを迫られた土地が自分たちの領土であることを証明できなかった」と判断した。また、公務員がマサイ族を暴行し立ち退きを迫ったという主張も、その証拠を示さなかったと裁定した。

報道によると、原告は控訴する意向を示したという。

マサイ族を代表する団体は声明で、「マサイ族が生活する地域の環境は悪く、政府主導の人権侵害と暴力が続いている」と述べている。

報道によると、タンザニア政府は声明を発表しておらず、記者会見も行わなかったという。

タンザニアの経済は観光に大きく依存している。ンゴロンゴロ自然保護区にサファリパークや狩猟地を整備できれば、人気観光地になるかもしれない。

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