◎青ナイル州はエチオピアと南スーダンに接し、ベルティ族とハウサ族の土地利用をめぐる問題に悩まされてきた。
スーダン、西ダルフール州(Getty Images)

スーダンの現地メディアによると、南部の青ナイル州で発生した部族間衝突の死者が220人に達し、複数の地域で戦闘が続いているという。

青ナイル州はエチオピアと南スーダンに接し、ベルティ族とハウサ族の土地利用をめぐる問題に悩まされてきた。

AP通信などによると、エチオピア国境近くの集落で20日と21日に抗争が発生したという。

地元当局は23日の声明で、「少なくとも220人の死亡を確認し、その数はさらに増える可能性がある」と警告した。

当局によると、青ナイル州で活動している人道団体が22日遅くに暴動が発生した集落に入り、膨大な数の死体と負傷者を確認したという。

フェイスブックで共有された動画には、焼け焦げた家屋と炭化した遺体、裸足で逃げ惑う女性や子供の姿が映っていた。

当局によると、この暴動で約7000人が近くの難民キャンプに避難を余儀なくされたという。国連人道問題調整事務所(OCHA)は23日、多くの市民が近隣州に逃亡したと報告した。

OCHAによると、南部やダルフール地方の紛争に巻き込まれ避難生活を続けている市民は確認できているだけで21万人を超えたという。

当局は暴動が発生した集落に兵士を配備したと伝えられている。軍事政権の指導部はこの暴動に関する声明を発表していないようだ。

青ナイル州におけるベルティ族とハウサ族の抗争は7月中旬に本格化し、10月上旬までに少なくとも150人が死亡したと推定されている。

この問題に詳しい当局者によると、ハウサ族はベルティ族に「土地利用を監視する民間組織」を設置するよう要請したが、ベルティ族はこれを拒否したという。

ベルティ族の広報担当は7月、「ハウサ族が我々の領土を占領したため、攻撃した」と説明していた。

青ナイル州に最後に入植したハウサ族はこの地域に伝わる慣習で土地の所有を禁じられており、これに異議を唱えている。

一方、首都ハルツームの市民は軍事政権への抗議を続けている。

同国は2019年4月の無血クーデターで独裁者のオマル・バシル (Omar al-Bashir)を追放し、民主化への道を歩み始めていたが、昨年10月の軍事クーデターでこの計画が頓挫して以来、機能不全に陥っている。

この数週間、軍と民主指導者は事態打開を目指し、協議を重ねてきた。

元野党議員などで構成される民主化勢力は先週、「軍は24カ月以内に選挙を行い、民政復帰することに合意した」と発表した。

軍事クーデターを主導したブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍はより良いスーダンを築くと大見得を切ったが、その後の大規模な抗議デモ、ダルフールの紛争、自然災害に全く対処できず、国連や人道機関の支援に頼り切っている。

2022年1月4日/スーダン、首都ハルツームの抗議デモ(Getty Images/AFP通信/PAメディア)
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