◎アルシャバーブは国際テロ組織アルカイダとつながりのあるイスラム過激派のひとつで、ソマリア南部と中部の大部分を支配し、首都モガディシュ近郊まで支配地域を拡大したとみられる。
2022年10月30日/ソマリア、首都モガディシュ、テロ攻撃で全壊した建物の残骸(Farah Abdi Warsameh/AP通信)

ソマリアモハムド(Hassan Sheikh Mohamud)大統領は30日、首都モガディシュで発生した自動車爆弾攻撃について、これまでに少なくとも100人の死亡を確認し、犠牲者はさらに増加する可能性が高いと発表した。

このテロ攻撃はイスラム過激派組織アルシャバーブによる5年前のテロ攻撃と同じ場所で発生した。この攻撃では500人以上が死亡している。

犯行声明は出ていないが、バレ(Hamza Abdi Barre)首相はアルシャバーブの犯行と断言している。爆弾を積んだ2台の車両は時間を置いて爆発した。

モハムド氏は爆発現場で記者団の取材に応じ、「300人近くが重軽傷を負ったと報告を受けている」と明らかにした。

またモハムド氏は医療機関が対応に苦慮しているとして、国際社会に支援を呼びかけた。

アルシャバーブは国際テロ組織アルカイダとつながりのあるイスラム過激派のひとつで、ソマリア南部と中部の大部分を支配し、モガディシュ近郊まで支配地域を拡大したとみられる。米政府はアルシャバーブを「アルカイダ系列の最凶組織」と評している。

アルシャバーブは2017年10月のテロ攻撃についても責任を主張していないが、組織の金融ネットワークの凍結を目指す政府による新たな取り組みに「対応する」と表明し、イスラム法による支配が確立されるまで攻撃を続けると誓っている。

モハムド氏はこの取り締まりを含むアルシャバーブに対する作戦を「全面戦争」と呼んでいる。

警察によると、モガディシュには検問所が多数設置されている。爆発物を積んだ車両が検問を通過したか否かは不明。

モハムド氏は記者団に対し、「政府はアルシャバーブとの戦争状態にある」と述べ、必ず勝利すると約束した。

今回の攻撃はイスラム過激派との戦いに関する閣議が行われた日に発生した。ソマリアで活動している過激派はアルシャバーブだけではない。

過激派は数十年にわたる紛争で疲弊した政府と軍を圧倒している。爆発現場に救助隊の姿はほとんどなく、多くの市民が手分けして瓦礫を取り除き、遺体を回収している。

叔父を探しているという男性はAP通信の取材し、「生死は不明だが、最後に連絡を取った時にはこの辺にいたと思う」と語った。

2回目の爆発を目撃したという男性は「遺体の数が多すぎる」と証言している。1回目の爆発は教育省の建物近く、露天商が集まるエリアで発生した。

2回目の爆発はレストランの目の前で起こったと伝えられている。爆発の衝撃でレストラン、近くのホテル、駐車車両が粉々になった。

地元のジャーナリスト協会によると、最初の爆発後に現場に到着したジャーナリスト1人が2回目の爆発に巻き込まれて死亡、2人が負傷したという。

米国は今年5月、トランプ政権が2020年に撤退させたソマリア部隊の再配備を決めた。

ホワイトハウスのサリバン(Jake Sullivan)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は30日の声明でこの攻撃を非難し、ソマリア政府を引き続き支援すると約束した。

2022年10月30日/ソマリア、首都モガディシュ、遺体を運ぶボランティア(Farah Abdi Warsameh/AP通信)
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