マリ治安悪化、武装勢力が首都バマコに向かう輸送車両を襲撃
5月6日、バマコへ向かっていたモロッコ発の果物輸送トラックの隊列がイスラム過激派とみられる武装勢力の待ち伏せ攻撃を受けた。
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アフリカ西部・マリの首都バマコに対するイスラム過激派の封鎖が続く中、武装勢力による輸送車両への襲撃が発生し、国内の治安と物流の危機が深刻化している。
AP通信によると、5月6日、バマコへ向かっていたモロッコ発の果物輸送トラックの隊列がイスラム過激派とみられる武装勢力の待ち伏せ攻撃を受けた。襲撃はバマコと南部ブグニ間の道路で発生、武装勢力が発砲したとされる。運転手らの安否は分かっておらず、軍事政権もこの事件を公式には確認していない。犯行声明を出した組織も確認されていない。
今回の事件は4月下旬から続く攻撃の延長線上にある。国際テロ組織アルカイダと関係を持つ「イスラム・ムスリムの支援団(JNIM)」とトゥアレグ系分離主義勢力「アザワド解放戦線(FLA)」が協調して各地で大規模攻撃を実施し、複数の都市や軍事拠点を掌握した。これは2012年以降、最悪規模の治安悪化とみられる。
両勢力はバマコを包囲する形で主要道路に検問所やバリケードを設置し、物資の流入を妨げている。実際、バマコへ通じる複数の幹線道路では車両の通行が制限され、数百人の旅行者や100台以上のバスが足止めされる事態となった。食料や水などの不足が懸念され、人道状況の悪化も指摘されている。
この封鎖戦術は突発的なものではなく、JNIMは2025年以降、石油タンクローリーを標的とする攻撃を繰り返し、経済の生命線である補給路を断つ戦略をとってきた。これにより数百台のタンクローリーが破壊され、バマコで燃料不足や停電が発生するなど国家機能にも影響が及んでいる。
さらに4月の攻勢ではサディオ・カマラ(Sadio Camara)国防相が殺害されるなど、政府中枢にも打撃が及び、暫定大統領のゴイタ(Assimi Goita)大将が国防相を兼任する事態となった。軍政は治安回復を掲げてきたが、情勢はむしろ悪化しているとの見方が強い。
武装勢力側は軍政打倒やシャリア(イスラム法)に基づく統治を呼びかけており、バマコ包囲は軍政への圧力を強める狙いがあるとみられる。一方で政府は軍内部の反体制派の摘発を進めるなど対抗措置を取っているが、攻撃を抑え込めていない。
今回のトラック襲撃は単なる一事件にとどまらず、物流遮断と経済圧迫を通じて国家を揺さぶる武装勢力の戦略の一環と位置付けられる。バマコへの物資供給が不安定化する中、一般市民の生活への影響は今後さらに拡大する恐れがある。マリ情勢は内戦的様相を強めつつあり、サヘル地域全体の不安定化も懸念されている。
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