◎この禁止令がどのように運用されるかは明らかになっていない。政治と密接に結びつく経済問題が対象になるかどうかも不明だ。
マリ、首都バマコ、暫定大統領に就任したアシミ・ゴイタ大佐(Getty Images/AFP通信)

西アフリカ・マリの軍事政権は11日、国内で活動する全てのメディアに対し、追って通知を出すまで政治に関する報道をやめるよう命じた

違反したメディアは治安部隊の取り締まりに直面する可能性がある。

軍政は前日、公の秩序を守る必要があるとして、全ての政治活動を禁じたばかりだ。

この命令は通信当局が発出したものであり、ソーシャルメディア上で公開された。それによると、テレビ、ラジオ、インターネット、紙媒体の新聞など、あらゆる形態のメディアが対象となる。

この禁止令がどのように運用されるかは明らかになっていない。政治と密接に結びつく経済問題が対象になるかどうかも不明だ。

マリ、ブルキナファソ、ニジェールは10年以上にわたってサヘル地域に拠点を置く国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織と戦ってきた。

3カ国は近年、旧宗主国であるフランスとの関係を断ち、サヘルで存在感を増すロシアに接近。マリ軍政はロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結び、過激派掃討を続けている。

2021年のクーデターで政権を奪取したゴイタ(Assimi Goita)大佐は2024年初頭までの民政復帰を約束していた。

しかし、ゴイタ氏は昨年9月、さらなる準備が必要であるとして、今年2月に予定されていた総選挙を中止。民政復帰への見通しは立っていない。

首都バマコに拠点を置くジャーナリスト組合は異例の厳しい反論を行った。

組合は加盟するメディアのジャーナリストに対し、政治に関する報道を続けるよう呼びかけた。

また組合は「団結して市民の知る権利を守る必要がある」と訴えた。

軍政の管理下にある国家人権委員会も11日遅くの声明でこの決定に遺憾の意を表明した。同委員会は指導部に対し、「この決定は有害であり、取り消すべきだ」と促した。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は先月末、マリ軍政とワグネルがイスラム過激派を掃討する中で民間人も虐殺していると告発した。

サヘル地域の紛争で死亡した市民は数万人と推定されているが、被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も全く立っていない。

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