◎エチオピア軍のバチャ・デベレ将軍は、北部ティグライ地域を支配する反政府勢力の兵士5,600人以上を殺害したと明らかにした。
2021年8月25日/エチオピア、北部アムハラ州に設置された国内避難民キャンプ(AP通信)

9月4日、エチオピア軍のバチャ・デベレ将軍は北部ティグライ地域を支配する反政府勢力の兵士5,600人以上を殺害したと明らかにした。

国軍とティグライを支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争は昨年11月に本格化し、少なくとも数千人が死亡し、ティグライの住民数百万人が国内避難民になった。

エチオピア政府は11月末に勝利を宣言したが、TPLFは他の反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、今年6月、ティグライ地域の支配権を取り戻した。

デベレ将軍は反政府勢力の兵士5,600人以上を殺害したと主張したが、いつどこで殺害したかは明らかにしておらず、専門家は昨年11月以前に発生した戦闘も含まれている可能性があると指摘した。またデベレ将軍は、反政府勢力の兵士少なくとも2,300人が負傷し、約2,000人を拘束したと述べた。

デベレ将軍は記者団に対し、「反政府勢力はティグライ地域に隣接するアムハラ州とアファール州に侵攻し、エチオピアを解体しようとした」と非難した。「国軍はアムハラ州の境界に位置するヒメラに侵攻したテロリストを完全に破壊しました...」

TPLFはデベレ将軍の主張に対する声明を発表していない。

国連によると、エチオピア軍はティグライ地域への人道物資輸送を妨害し、地域の住民推定600万人の食糧はほぼ尽きたという。国連は7月に公表したレポートの中で、年末までに40万人以上が餓死する可能性があると警告した。

西側諸国は民間人数千人の死に関与したエチオピア軍、TPLF、エリトリア軍を非難したが、紛争終結の見通しは全く立っておらず、国連は昨年末頃から悪化し続けている深刻な食糧不足と住民が置かれている状況を「地獄」と呼んだ。

デベレ将軍はアムハラ州とアファール州に侵攻した反政府勢力を打ち負かしたと主張したが、ユネスコ世界遺産「岩窟教会群」のあるアムハラ州ラリベラを含む両州の重要な地域はTPLFの支配下に置かれている。

一方、国連は3日、エチオピア政府はティグライ地域への人道物資輸送を妨害したと非難し、数百万人の命が危険にさらされているとあらためて警告した。また、ティグライの住民は「過去数十年で世界最悪の飢餓」に直面しており、少なくとも520万人に人道支援を速やかに提供しなければならないと述べた。

しかし、デベレ将軍は4日の声明で、過去2日間に人道物資を積み込んだトラック500台が北部地域に入ったと主張した。また、州境に設置された検問所のセキュリティレベルも引き下げられたという。

ロイター通信やAFP通信を含む主要メディアは、「人道物資の通過と検問所のセキュリティが引き下げられたという政府の主張を確認することはできない」と報じた。

エチオピア政府は戦闘地域周辺への立ち入りを禁じている。

国連が8月19日に公表したティグライ地域のレポートによると、住民のニーズを満たすためには、毎日トラック100台分の物資(うち90台は食糧)を運び込む必要があるという。

しかし、7月12日から8月15日の間に物資を運び込んだトラックはわずか316台にとどまり、ティグライ地域で活動する複数の人道支援団体は燃料、医療用品、その他の物資、そして食料がないと主張した。

2021年8月13日/エチオピア、北部ティグライ地域、ティグライ国防軍(TDF)の戦闘員(Getty Images/AFP通信)
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