◎イドリス・デビ前大統領は昨年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死した。
チャド、首都ンジャメナ、デビ大統領(Getty Images)

チャドの軍事政権は2日、民主的な選挙の準備を進める移行期間を延長し、デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領代行を国家元首とする現在の体制を最大24カ月維持すると発表した。

この決定は軍指導部、反政府勢力、野党、市民団体、酋長など、全国の代表1400人以上が参加する「国民対話」の中で決まった。

政府報道官は声明で、「全国の代表は移行期間を最大24カ月とすることに合意した」と説明した。

また報道官は協議の結果、軍指導者も大統領選への立候補を許可されるとした。

イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は昨年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。軍の最高司令官であったデビ氏は議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。

FACTはチャド最大の反政府勢力であり、国民対話をボイコットしている。ほとんどの野党と活動家などで構成される市民社会グループも対話に参加していない。

多くの専門家が国民対話の決定に懸念を表明している。

ある専門家は「野党、市民社会、アフリカ連合(AU)、EU、そして米国はこの決定を認めないだろう」と指摘した。欧米諸国は今のところ、チャドに制裁を科していない。

チャドは世界でもっとも貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、多くの反乱と騒乱に直面してきた。

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