◎西アフリカ諸国はサハラ砂漠以南のサヘル地域に拠点を置くアルカイダやイスラム国(ISIS)系組織の暴力に悩まされている。
サハラ砂漠以南のサヘル地域で活動するジハード組織(Getty Images/AFP通信)

ブルキナファソ政府は27日、北部の町に支援物資を運んでいた輸送隊の車両150台が武装勢力の攻撃を受け、兵士少なくとも11人が死亡、市民50人が行方不明と発表した。

軍報道官は声明で、「輸送隊はサヘル地方のスム県で攻撃を受けた」と説明している。

西アフリカ諸国はサハラ砂漠以南のサヘル地域に拠点を置くアルカイダやイスラム国(ISIS)系組織の暴力に悩まされている。AFP通信によると、スム県も過激派の支配下に置かれているという。

軍報道官は、「兵士20人を含む28人ほどが負傷し、トラック数十台が破壊された」と報告した。

軍は今年1月、国の治安を維持できなかったとしてカボレ(Roch Kabore)大統領を追放した。大統領代行に就任したダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中佐は治安の回復を目指すとしているが、過激派の攻撃を抑えることはできていない。

軍報道官によると、スム県の一部地域は過激派の支配下に置かれたサヘルの住民を支援する窓口になっていたという。

軍報道官はこの攻撃を「卑怯で野蛮」と糾弾し、関与した者をひとり残らず捕らえると約束した。

また報道官はこれまでに兵士11人の死亡を確認し、輸送を支援していた民間人約50人と連絡が取れないと説明した。

AFP通信は当局者の話を引用し、「死者は60人に達する可能性がある」と報じている。またこの当局者は「輸送隊は壊滅した」と説明した。

SNSで共有された動画には、炎に包まれたトラックから物資を取り出そうとする民間人と思われる人々の姿が映っていた。

サヘル地域で進行中の紛争はこの数カ月で激しさを増し、多くの民間人と兵士が犠牲になった。国連によると、マリ、ニジェール、ブルキナファソで今年イスラム過激派に殺害された民間人は7月末時点で2000人を超え、昨年の通年を上回った。

この紛争に巻き込まれたブルキナファソの市民は200万人を超え、その多くが難民キャンプや国外に避難している。

25日にはサヘルで活動する別の輸送隊が爆弾攻撃を受け、少なくとも4人が負傷したと伝えられている。この隊は目的地に到着することができた。

今月6日にも輸送隊が攻撃を受け、民間人少なくとも35人が死亡している。

ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)によると、ブルキナ軍は国土の60%しか管理できておらず、残り40%は過激派の支配下に置かれている。

サヘルの暴力は近隣のコートジボワールとトーゴにも波及し始めている。

ドイツのシンクタンク「コンラート・アデナウアー財団」は4月に公表した報告書の中で、「ブルキナとマリの治安悪化により、沿岸国の北部地域に新たな戦線が形成された」と述べている。

ブルキナファソ軍のパトロール部隊(Getty Images)
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