◎前進党のリムジャラーンラット党首は連立交渉について、「非常にスムーズに進んだ」と語った。
2023年5月17日/タイ、首都バンコク、前進党のリムジャラーンラット党首(中央)と連立交渉に出席した他党関係者(Sakchai Lalit/AP通信)

週末の総選挙で第1党に躍進したタイ「前進党」が17日、連立政権発足に向けた交渉を開始し、他の5党と直接会談した。

新政権は7月に発足する予定である。なお、第2党のタクシン(Thaksin Shinawatra)元首相派のタイ貢献党も交渉次第で政権を取れる可能性がある。

軍事クーデターを主導したプラユット(Prayuth Chan-ocha)首相に対抗するために結束した野党の代表は首都バンコクで数時間にわたって会談した。

その後、代表らは笑顔で記者団の取材に応じ、団結を示すために手をつないで写真撮影した。

米ハーバード大学を卒業した前進党のリムジャラーンラット(Pita Limjaroenrat)党首は連立交渉について、「非常にスムーズに進んだ」と語った。

また同氏は「交渉の詳細は後日公表する」と述べた。

2大野党は下院(定数500)の過半数を獲得し、2014年のクーデター以来政権を握ってきた親軍派を見事に追い落とした。

新首相は軍政が任命した上院(定数250)と下院の投票で選出されるため、連立交渉の結果次第では、親軍派が有利に立つ可能性がある。

前進党とタイ貢献党の交渉は難航すると予想されている。7月の新首相選出で過半数を確保するためには、少なくとも一部の上院議員から支持を得る必要がある。

しかし、上院議員は全員、親軍派によって任命され、プラユット政権の保守的な政策を支持しているように見える。

地元メディアはプラユット氏のタイ団結国家建設党を含む上位政党が水面下で交渉を進めていると報じた。

前進党は王室への不敬罪の改正など、進歩的な政策を推進する一方、タイ貢献党は王室を支持し、その政策は受け入れられないとしている。不敬罪の刑期は懲役3~15年。

保守派は王室を神聖視しているが、主に若者は民主主義を確固たるものにする取り組みの一環として、王室の廃止を含む進歩的な改革・政策を求めている。

タイ王室の資産は400億ドル(約5兆5000億円)以上と伝えられており、「世界一裕福な王族」と呼ばれている。

ワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn、ラーマ10世)国王はドイツで悠々自適な生活を送っていたが、2021年10月以来タイ国内にとどまり、イメージの回復に努めている。

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