台湾当局、中国国民向けの情報提供用ウェブページを開設
NSBによると、新サイトは中国国内外の中国籍の人々が匿名かつ安全に情報を提供できる仕組みを備えている。
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台湾の情報機関である国家安全局(NSB)は14日、中国国民が安全に情報提供できる専用ウェブサイトを開設したと発表した。中国国内の政治・経済情勢や政府機関、軍事動向などに関する情報提供を呼びかけるもので、台湾海峡を巡る緊張が続く中、台湾当局が中国国内からの情報収集を強化する新たな取り組みとして注目を集めている。
NSBによると、新サイトは中国国内外の中国籍の人々が匿名かつ安全に情報を提供できる仕組みを備えている。台湾当局は近年、中国から「さまざまな情報を提供したい」と接触してくる人が増えているとして、専用窓口を設ける必要があると判断した。背景には中国経済の減速や不動産不況、若年失業率の高止まりに加え、共産党による統制の強化に対する不満の高まりがあると分析している。
新たに開設されたサイトには、中国の公務員が同僚の失脚や調査を目撃しながら体制への不信感を募らせる様子を描いた約1分間の動画も掲載された。人工知能(AI)で作られたこの映像は、「今こそ変化の時だ」と呼びかける内容で、情報提供を促す狙いがある。台湾当局は自由や民主主義を求める中国国民に対し、台湾が安全な窓口を提供すると強調している。
今回の取り組みは米国やイギリス、イスラエルなどの情報機関の手法を参考にしたという。特に2023年には米中央情報局(CIA)が中国政府関係者や公務員に向け、中国語による動画をSNS上で公開し、機密情報の提供を呼びかけたことで話題となった。台湾当局はこうした先例を踏まえ、情報収集ルートの多様化を図る方針だ。
一方、中国と台湾は長年にわたり互いにスパイ活動を展開してきた歴史を持つ。台湾では近年、中国による情報工作や軍事機密の収集活動が活発化しているとして、摘発件数が増加している。台湾政府は中国が軍事的圧力だけでなく認知戦や浸透工作を通じて台湾社会への影響力拡大を図っていると警戒を強めてきた。
これに対し、中国側も2024年に台湾独立派の活動に関する情報提供窓口を開設し、「分裂活動」の摘発を呼びかけている。双方が市民からの通報制度を活用して情報収集を進める構図となっており、情報戦の様相が一段と色濃くなっている。
台湾と中国は1949年の国共内戦終結以来、分断された状態が続いている。中国政府は台湾を自国領土の一部と位置付け、必要であれば武力統一も辞さない姿勢を示している。一方、台湾は主権国家としての立場を堅持し、「台湾の将来は台湾市民のみが決定できる」と反論している。近年は中国軍による大規模演習や台湾軍の防衛訓練が相次ぎ、軍事的緊張も高まっている。
NSBによる今回のサイト開設は軍事力だけでなく情報収集能力の強化を通じて中国に対抗しようとする台湾の姿勢を象徴する動きといえる。台湾海峡を巡る対立が長期化する中、両岸の競争は軍事・外交だけでなく、情報戦の領域でも新たな段階に入りつつある。
