台湾政府、士官学校卒業生向けの「反共教育」を再開、25年ぶり
台湾政府は近年、中国による軍事演習や航空機・艦艇の接近に加え、情報工作や軍内部への浸透工作への警戒も強めている。
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台湾国防部は5日、士官学校の卒業生を対象とした「反共教育」を約25年ぶりに再開したと明らかにした。中国による軍事的威圧や情報工作の脅威が高まっていることを受け、将校らに国家安全保障への認識を改めて徹底する狙いがある。台湾周辺では中国軍や中国海警局の活動が活発化しており、台湾当局は軍事面だけでなく思想面での備えも強化する必要があると判断した。
台湾では冷戦期、共産党政権を「共産匪賊(ひぞく)」と呼び、反共思想を柱とする教育が軍や学校で広く行われていた。しかし、民主化が進んだ2002年以降は、こうした教育は一般的な「愛国教育」に置き換えられ、反共を前面に打ち出す講義は行われなくなっていた。今回の再開について、国防部は中国からの脅威が従来とは異なる段階に入ったことが背景にあるとしている。
講義では、国防、安全保障、法制度、情報戦などを専門とする政府機関や大学の研究者らが登壇し、中国による軍事的威圧や認知戦、スパイ活動への対処について説明する予定である。国防部は将校らが台湾軍の使命や民主主義体制を守る意義を理解し、「敵と味方を正しく見極める能力」を養うことが目的だと説明している。
一方、国防部は5日、中国が第一列島線周辺に110隻を超える海軍艦艇や海警船を展開していると明らかにし、その行動を地域への勢力拡大を狙うものだと批判した。また、中国海警局は台湾東部沖で新たな巡視活動を開始し、自国の主権を侵害する行為だとして強く抗議した。
台湾政府は近年、中国による軍事演習や航空機・艦艇の接近に加え、情報工作や軍内部への浸透工作への警戒も強めている。6月末には頼清徳(Lai Ching-te)総統が士官学校の卒業式で「中国の支配に屈してはならない」と訓示し、民主主義や自由を守る重要性を強調したばかりである。政府は徴兵制度の見直しや予備役訓練の拡充、大規模演習なども進めており、防衛力の強化を図っている。
一方、中国政府は台湾を自国領土の一部と位置付け、武力行使の放棄を明言していない。台湾政府は「台湾の将来を決めるのは台湾の人々だけだ」として中国の主張を退けている。軍事的緊張が続く中、台湾は装備や戦力だけでなく、軍人の理念や士気を重視する教育体制の再構築にも踏み切った形で、両岸関係の対立が新たな局面に入ったことを示している。
