台湾検察、中国の習近平主席を風刺したコメディアン襲撃事件で5人を起訴、「越境弾圧」の疑い
今回の事件は、政治的な風刺や批判を守る言論の自由に加え、中国による台湾社会への影響工作をめぐる懸念を改めて浮き彫りにした。

台湾の検察当局は21日、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席や中国政府を風刺していたコメディアン、黄逸豪(ホアン・イーハオ、Huang Yi-hao)氏を車ではねて負傷させたとして、台湾人の男5人を起訴したと発表した。それによると、事件には中国籍の人物が関与し、黄氏の手足を骨折させて舞台に立てなくする計画だった疑いがある。
中国籍の人物は「K」とだけ特定され、実行役に報酬を支払って襲撃を指示したとされる。黄氏は9月、スクーターで帰宅中に車にはねられ、軽傷を負った。検察によると、容疑者たちは事故を装い、黄氏に重傷を負わせることで、予定されていた公演を妨害しようとしたという。検察は事件が政治的な言論を封じる目的で計画された可能性があるとみている。
黄氏は自身のフェイスブックで、習氏については公演中に短く言及しただけだったと説明した。そのうえで、中国共産党が台湾を統治していない現状でさえ、党への批判によって暴力を受けるのであれば、将来、台湾の言論の自由を維持できるのかと懸念を表明した。
台湾当局は中国が自国に批判的な人物を国外でも威圧する「越境弾圧」を行っていると警戒してきた。中国は台湾を自国の領土とみなしているが、台湾は独自の政府と民主的な制度を維持している。台湾当局は21日、中国共産党などの指示を受けて台湾で弾圧に加担する者を厳しく追及する姿勢を示した。
黄氏をめぐっては、5月にも出演予定の劇場で排せつ物や塗料がまかれる事件が起きており、中国の指導者を風刺した公演との関連が疑われている。今回の事件は、政治的な風刺や批判を守る言論の自由に加え、中国による台湾社会への影響工作をめぐる懸念を改めて浮き彫りにした。
