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韓国サムスン電子労組、賃金協定案を承認、大規模スト回避

労組によると、投票には約6万2000人の組合員が参加し、約74%が協定案に賛成した。
2026年4月23日/韓国、首都ソウル、電機大手サムスン電子の組合員(ロイター通信)

韓国の電機大手サムスン電子の労働組合は27日、会社側との暫定賃金協定案を組合員投票で承認した。これにより、半導体事業を中心に計画されていた大規模ストライキは回避され、世界的な半導体供給網への混乱懸念も後退した。人工知能(AI)向け半導体需要の急拡大によって業績が急伸する中、利益配分を巡る労使対立は韓国経済全体にも影響を及ぼす問題として注目を集めていた。

労組によると、投票には約6万2000人の組合員が参加し、約74%が協定案に賛成した。協定では平均賃上げ率を6.2%とするほか、半導体部門向けに10年間継続する特別成果報酬制度を新設する。特にAI向けメモリー半導体事業の好調を背景に、営業利益の10.5%を特別ボーナス原資として積み立てる内容が盛り込まれた。

今回の労使交渉は5カ月間に及び、何度も決裂寸前となった。全国サムスン電子労組(NSEU)は当初、5月21日から18日間にわたるストライキを計画していた。昨年に続く大規模争議となれば、世界最大級のメモリーチップメーカーであるサムスンの生産に打撃を与え、AIサーバーやスマートフォン向け半導体供給にも影響する可能性が指摘されていた。最終的には中央政府の仲裁によって土壇場で合意に達した。

ただ、今回の協定を巡っては社内で温度差もみられる。好業績の半導体部門では高額ボーナスへの期待が高まる一方、スマートフォンや家電を担当するDX部門の従業員からは不満の声が上がった。消費者家電部門の労組は「半導体部門に利益が偏っている」と反発し、投票差し止めを求めて裁判所に仮処分を申請したが、裁判所はこれを退けた。

市場では今回の合意を、サムスンの労使関係における歴史的転換点と受け止める見方も出ている。サムスンは長年「無労組経営」で知られ、過去には組合潰し問題で批判を浴びた経緯がある。しかし近年は労組の影響力が急速に拡大し、2024年には創業以来初となる大規模ストも発生した。今回の妥結はAIブームで拡大する利益を組合員へどう還元するかという新たな課題を象徴している。

サムスン電子は現在、AI向け高性能メモリー市場でSKハイニックスと激しい競争を繰り広げている。韓国経済に占める同社の存在感は極めて大きく、今回の合意は半導体産業だけでなく、韓国全体の輸出や株式市場の安定にも一定の安心感を与えた形だ。

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