韓国サムスン電子と労働組合が交渉再開、スト回避目指すも意見の隔たり大きく
労組側は、現在基本給の50%に制限されているボーナス上限の撤廃を求めているほか、年間営業利益の15%を従業員ボーナス原資として配分し、その内容を労働契約に明記するよう要求している。
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韓国の電機大手サムスン電子と労働組合が19日、大規模ストライキ回避に向けて労使交渉を再開した。人工知能(AI)向け半導体需要の急拡大で過去最高水準の利益を上げる一方、ボーナス配分を巡る労使対立が深刻化しており、韓国政府は経済への影響を懸念して異例の介入姿勢を強めている。報道によると、政府は必要に応じて緊急仲裁を発動し、ストを阻止する可能性も示唆している。
対立の中心にあるのは成果給制度だ。労組側は、現在基本給の50%に制限されているボーナス上限の撤廃を求めているほか、年間営業利益の15%を従業員ボーナス原資として配分し、その内容を労働契約に明記するよう要求している。これに対し会社側は営業利益が200兆ウォン(約21.1兆円)を超えた場合に9〜10%を配分する案を提示しているが、ボーナス上限維持の姿勢は崩していない。
労組は交渉が決裂した場合、5月21日から18日間に及ぶストライキに踏み切る構えだ。参加人数は4万5000人規模に達する可能性があり、実施されればサムスン史上最大級の労働争議となる。特に半導体部門への影響が懸念され、JPモルガンは最大200億ドル規模の利益損失が生じる可能性を指摘している。
中央政府は危機感を強めている。サムスン電子は韓国輸出の約4分の1を占める。半導体は同国経済の柱だ。政府は「ストだけは回避すべきだ」と繰り返し表明しており、国家経済や金融市場への打撃を警戒している。政府内では、公共性の高い産業で労使交渉が決裂した場合に適用可能な緊急仲裁制度の活用も議論されているという。
さらに、裁判所もスト権行使に一定の制限を加えた。水原(スウォン)地裁は先週、安全維持や品質管理に必要な人員については勤務継続を義務づける仮処分を認め、工場占拠などの妨害行為も禁じた。これにより全面的な生産停止の可能性は低下したものの、労組側は「労働基本権への介入だ」と反発している。
今回の対立の背景には、AI半導体ブームによる業界内格差がある。競合のSKハイニックスは高帯域幅メモリー(HBM)事業で急成長し、ボーナス上限撤廃など従業員待遇改善を進めてきた。一方、サムスンでは部門ごとの業績差によって賞与格差が拡大し、不満が高まっていた。労組加入者数は近年急増し、「無組合経営」で知られたサムスンの企業文化が大きく変化している。
交渉は政府仲介の下で継続しているものの、意見の隔たりはなお大きい。世界最大級の半導体メーカーを巡る労使対立は韓国経済のみならず世界の半導体供給網にも影響を及ぼす可能性があり、市場が交渉の行方を注視している。
