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インド・西ベンガル州当局が学校給食から「卵」を排除、批判相次ぐ

インドの学校給食制度は1995年に全国規模で導入され、現在では約1億2000万人の児童が利用する世界最大級の給食制度となっている。
卵のイメージ(Getty Images)

インド東部の西ベンガル州で、公立学校の給食から「卵」を外す方針が打ち出され、栄養政策と宗教、政治を巡る議論が広がっている。州政府は学校給食事業の運営をヒンズー教系団体「クリシュナ意識国際協会(ISKCON)」に委託し、卵の代わりに大豆やパニール(インド式チーズ)、豆類などの植物性たんぱく質を提供するとしている。しかし、野党や栄養学の専門家からは、子どもの栄養状態への影響を懸念する声が相次いでいる。

インドの学校給食制度は1995年に全国規模で導入され、現在では約1億2000万人の児童が利用する世界最大級の給食制度となっている。貧困家庭の子どもに栄養価の高い食事を提供するとともに、就学率や出席率の向上にも大きく貢献してきた。これまで多くの州では米や豆、野菜に加えて卵を提供しており、特に南部や東部の州では重要なたんぱく源として定着している。

一方、ISKCONは厳格な菜食主義を掲げる宗教団体で、卵も肉類と同様に提供しない方針を採っている。団体側は大豆やパニールの方が卵よりも多くのたんぱく質を含み、十分な栄養を確保できると主張している。しかし、栄養学の専門家は、卵は体内で合成できない必須アミノ酸9種類をすべて含むほか、品質が均一で提供しやすい食材であり、植物性食品だけで同等の栄養を安定的に確保することは容易ではないと指摘している。

今回の決定に対し、野党・全インド草の根会議派(TMC)は「州政府が子どもたちから栄養を奪い、菜食主義を押し付けている」と強く反発した。与党・インド人民党(BJP)は5月の州議会選挙で初めて西ベンガル州の政権を獲得したばかりで、今回の給食見直しも宗教的価値観を教育現場へ反映させようとする政策ではないかとの批判が出ている。これに対し、政治学者の中には、インドでは菜食文化と宗教的背景は複雑で、単純にヒンズー至上主義と結び付けるべきではないとの見方もある。

政府統計によると、インドでは約7割の国民が肉や魚、卵を日常的または時折食べている。特に西ベンガル州では魚料理を中心とした食文化が根付いており、卵も一般的な食材として広く受け入れられている。そのため、今回の措置は単なる給食メニューの変更にとどまらず、宗教、食文化、子どもの栄養、さらには州政府の政治姿勢を巡る論争へと発展している。教育現場では今後も、安全で十分な栄養を確保しながら、多様な食文化や家庭の価値観をどのように尊重していくかが大きな課題となりそうだ。

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