◎パキスタンの外貨準備高は原油と天然ガスの購入費用1カ月分程度にまで落ち込んでいる。
パキスタンのカーン前首相(右)とロシアのプーチン大統領(Getty Images)

パキスタン政府は19日、壊滅的な洪水被害に対処する取り組みの一環として、ロシアの安価な原油の購入を検討していると明らかにした。

米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今月6日、パキスタンのソブリン格付けを1段階引き下げたが、パキスタン政府はこの決定を批判し、債務不履行などあり得ないと猛反発した。

しかし、西側の専門家や投資家はパキスタンの外貨準備が激減していることに懸念を表明し、あらゆる選択肢を模索すべきと警告している。外貨準備高は石油と天然ガスの購入費用1カ月分程度にまで落ち込んでいる。

ダール財務相は18日の記者会見で「ロシアの原油に頼る可能性はあるか?」と問われ、「検討している」と答えた。「インドは購入しています。我々にも購入する権利があります...」

EUは12月5日にロシア産原油の海上輸入を禁止する。G7はロシア産原油の輸入価格に上限を設定する予定だ。

パキスタンのシャリフ(Nawaz Sharif)首相はパリクラブ(主要債権国会議)が同国の債務救済の必要性を議論していることに触れ、「パキスタンはデフォルトしません」と断言した。

シャリフ氏は首都イスラマバードで、「我々は神の意志で、何とか約束を果たすことができる」と主張した。「心配はいりません...」

しかし、債務拡大、消費者物価指数(CPI)20%超のインフレ、パキスタンルピー安、そして国土の3分の1が水没した大洪水はパキスタンの首を絞め上げている。国連はその被害総額を400億ドルと見積もっている。

ダール氏は先週、ロイター通信のインタビューで、「パキスタンは270億ドルの二国間債務の再編を求める」と述べる一方、今年満期を迎える10億ドルのユーロ債は完済できるとした。

ダール氏は先週、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会で米政府関係者とも会談している。

ダール氏は先月財務相に就任した。前任のイスマイル(Miftah Ismail)氏は半年しかもたなかった。

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