◎中露寄りのカーン前首相は昨年4月に不信任決議で弾劾されて以来、政府・司法・軍を批判し、全国各地で集会を開催してきた。
2023年5月23日/パキスタン、イスラマバード地裁前、カーン前首相の到着に備える治安当局者(Anjum Naveed/AP通信)

パキスタン政府は26日、カーン(Imran Khan)前首相の支持者による最近の暴動に関与した17人を軍事裁判にかけると発表した。

これで軍事法廷に出廷する市民は33人となった。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「一般市民を軍事法廷で裁くことは国際法に反する」と批判している。

カーン氏は2週間前にイスラマバード高裁に出廷した直後に逮捕された。地検は3月にカーン氏を含む前政権の閣僚や関係者などをテロ容疑などで告発していた。

カーン氏の逮捕に抗議する全国規模のデモは暴動に発展。カーン氏の政党・パキスタン正義運動(PTI)は治安当局の取り締まりを弾圧と非難している。

カーン氏の支持者たちは数日間にわたり、全国各地の公共施設や軍事施設を攻撃。最高裁がカーン氏の保釈を許可すると暴動は収まった。警察はこの暴動で少なくとも10人が死亡したと報告している。

内務省の報道官は記者会見で、「軍事裁判にかけられるのは暴動を主導した33人のみである」と説明した。警察は暴動に関与した5000人以上を逮捕している。

また報道官は「逮捕された者の8割が保釈を認められた」としたうえで、カーン氏とPTIを厳しく非難した。「野党指導者と高官たちは暴力的なデモを主導、推奨、推進しました...」

報道官は「それを裏付ける証拠がある」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。

カーン氏は2018~22年の首相在任中に関与したとされる100件以上の罪で告発されている。

カーン氏は今週、進行中の政治的混乱を終わらせるためにシャリフ政権に協議を提案した。シャリフ(Shahbaz Sharif)首相がこの提案を受け入れるかどうかは不明である。

カーン氏は26日、PTIの幹部や議員の何人かがデモから撤退すると表明したことについて、自身の支持率は落ちておらず、「治安当局がデモ隊に銃口を突きつけたので撤退せざるを得なくなった」と主張した。

パキスタンは現在、前例のない経済危機に苦しんでいる。シャリフ政権と国際通貨基金(IMF)の救済交渉はこの6カ月、全く進展していない。

中露寄りのカーン氏は昨年4月に不信任決議で弾劾されて以来、政府・司法・軍を批判し、全国各地で集会を開催してきた。

カーン氏は不信任決議に米国が関与したと主張しているが、米政府とシャリフ氏は関与を否定している。

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