ニュージーランド総選挙2020について

・投票日は2020年10月17日。

・ジャシンダ・アーダーン首相の所属するニュージーランド労働党(議席数46/120)は第2党

・与党は国民党(議席数56/120)。しかし、前回総選挙で過半数を獲得することはできず、連立政権を樹立。9年ぶりに労働党出身の首相が誕生した。

・世論調査では労働党有利。

・首相は単独過半数を目指している。

・有権者の約半分、170万人が事前投票を行った。

・国民投票、「マリファナの合法化」と「安楽死の許可」の結果は10月30日に発表される。

2020年6月25日 AP通信/ニュージーランド、クライストチャーチにあるレッドクリフズスクールの開会式で取材に応じるアーダーン首相

10月17日、総選挙

アメリカとヨーロッパの多くはパンデミックに悩まされ続けているが、ニュージーランドは致命的なウイルスの感染をほぼ排除した。

ジャシンダ・アーダーン首相のビジネスと旅行の封鎖に関する初期の決定的な行動は世界中の科学者から称賛されており、このアプローチは同氏に2期目の任期を与えるかもしれない。

10月17日、小さな島国で生活する約500万人が、コロナウイルスによって深く形作られた歴史的な選挙の結果に注目している。

焦点は活力溢れるアーダーン首相(ニュージーランド労働党)が与党の国民党に勝つことができるかどうかである。

最近の世論調査では、アーダーン首相は「緑の党の支援が必要かもしれない」と示唆している。これを実現すると、過去21年間で最も左寄りな政権が誕生することになる。

オークランド、マッセイ大学の政治学准教授を務めるグランド・ダンカン氏はABCニュースの取材に対し、「アーダーン首相の人気と実力が想定以上の結果をもたらす」と述べた。

グランド・ダンカン氏:
「彼女は非常に有能かつ知的、そして何より人道的である。コロナウイルス対応でそれを証明した」

アーダーン首相は、昨年のクライストチャーチのモスク襲撃やホワイト島の噴火などに直面し、最近ではコロナウイルスの危機を乗り越え、ニュージーランド国民を動員、団結させる能力を示した。

ダンカン准教授は、「ニュージーランドのパンデミックに取り組む科学主導のアプローチが左翼有権者に勝った」と述べた。准教授の言う通り、首相の支持率は昨年末時点で40%を下回っていたが、ロックダウンで55%に急上昇している。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、ニュージーランドの累計感染者は2,000人以下、死者はわずか25人である。

2020年10月16日 ロイター通信/ニュージーランド、オークランドマヌレワ地区、総選挙キャンペーン最終日の様子

今週初め、アーダーン首相はウェリントンのラグビースタジアムで観客収容を許可した最初の国際スポーツイベント(来場者:30,000人)に参加し、国民に経済活動再開を強く印象づけた。

しかし、観光業に依存するニュージーランドは、厳しい経済的課題を克服しなければならない。

同国のGDP成長率は第二四半期で12.2%縮小した。

ダンカン准教授は、「保守派の多くは、彼女の推奨する疾病管理政策の経済的コストが公衆衛生上の利益を上回っていると主張している」と述べた。

アーダーン首相は、「先住民マオリのコミュニティに不釣り合いな価格の住宅提供」や「子供の貧困」などの分野で、いくつかの社会福祉目標を達成できなかったと批判を受けている。

さらに、海外でスターのように扱われたことが、アーダーン首相を懐疑論者の標的にした。彼らは「首相は国内に集中すべきだ。やることは山積している」と主張する。

アーダーン首相はヴォーグとタイム誌の表紙を飾り、ヒーローのように祭り上げられた。さらに、彼女は女性の権利と社会正義の擁護者として国際的に強い支持を築き、「反トランプ」と呼ぶ人さえいる。

しかし、処理しなければならない問題はコロナウイルスだけではない。

「ニュージーランドの政治はアメリカで繰り広げられている非難と二極化のレベルにまで沈んでいない」とダンカン氏は言う。

有権者は「マリファナの合法化」と「安楽死の許可」についても17日に判断する。

アーダーン首相は安楽死への支持を表明したが、レクリエーション大麻についてはコメントしていない。

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