ミャンマー大統領、インド訪問へ、就任後初の外遊
フライン氏は2021年2月の軍事クーデター以降、国軍トップとして実権を握ってきた。
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ミャンマーのフライン(Min Aung Hlaing)大統領が5月30日からインドを公式訪問する。インド外務省が28日に発表したもので、同氏が今年4月に大統領に就任して以来、初の外国訪問となる。訪問期間は6月3日までの予定で、モディ(Narendra Modi)首相との会談をはじめ、安全保障や経済協力を巡る協議が行われる見通しだ。
フライン氏は2021年2月の軍事クーデター以降、国軍トップとして実権を握ってきた。2025年末から26年初めにかけて行われた総選挙を経て大統領に就任したが、欧米諸国は選挙の正統性に疑問を呈し、国際的孤立が続いている。その中で、隣国インドを最初の訪問先に選んだことは、同政権が中国一辺倒ではない外交姿勢を示す狙いがあるとみられている。
インドとミャンマーは約1600キロに及ぶ国境を接している。特にインド北東部では分離独立を掲げる武装勢力がミャンマー領内を拠点して利用してきた経緯があり、インド政府はミャンマー軍との協力を重視している。また、両国は麻薬密輸や武器取引、不法移民対策でも連携を深めてきた。
近年は中国の影響力拡大もインドにとって大きな懸念材料となっている。中国はミャンマーで港湾やインフラ整備を進め、「一帯一路」構想の重要拠点と位置付けている。一方、インドも東南アジアとの結び付きを強化し、ミャンマーはその要衝にあたる。今回の首脳会談ではインド北東部とミャンマーを結ぶ道路・港湾開発計画についても協議される可能性が高い。
ただし、ミャンマー国内の情勢は依然として不安定だ。2021年のクーデター以降、民主派勢力と少数民族による抵抗が続き、各地で内戦が深刻化している。国連によると、戦闘による避難民は数百万人に達しており、人権侵害への批判も強い。欧米諸国は国軍関係者への制裁を続けているが、インドは対話維持を優先する立場を取ってきた。
今回の訪問はインド側にとっても外交上、難しい判断となる。インドは民主主義国家としてミャンマー軍政への露骨な支持は避けたい一方、中国への対抗や国境安定化の観点から関係維持が欠かせないためだ。そのため、会談では民主化問題よりも実務的な安全保障協力や経済支援が中心議題になるとみられる。
フライン政権にとっては、主要近隣国との関係強化を通じて国際的正当性を高める狙いがある。初の外遊先としてインドを選択したことは、ミャンマーを巡る地域外交の駆け引きが新たな段階に入ったことを示している。
