◎治安当局はデモ隊を武力で鎮圧し、数なくとも220人以上を殺害、2,000人以上が負傷し、数千人が拘束された。
2022年1月15日/ロシア、首都モスクワ郊外の空港、カザフスタンから帰還した兵士(Russian Defense Ministry Press Service/AP通信)

1月19日、ロシア国防省はカザフスタンの主要都市で発生した暴動を鎮めるために配備されたロシア主導の平和維持軍の撤退任務が完了したと明らかにした。

ロシアを含む6カ国で構成される集団安全保障条約機構(CSTO)は今月、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領の要請を受け、暴動が発生したアルマトイなどに兵士2,000人以上を派遣した。

燃料価格の高騰に抗議するデモは西部マンギスタウ州のジャナオゼンから全国に拡大し、一部のデモ隊は政治的な不満を当局にぶつけ、大規模な暴動に発展した。

現地メディアや権利団体などによると、治安当局はデモ隊を武力で鎮圧し、数なくとも220人以上を殺害、2,000人以上が負傷し、数千人が拘束されたという。当局は取り締まりにあたった警察官16人が死亡、1,300人以上が負傷したと報告している。

トカエフ大統領は13日に掃討作戦の完了を宣言し、CSTO軍の撤退任務が始まったことを明らかにしていた。

トカエフ大統領は19日のテレビ演説でムラット・ベクタノフ国防相を解任したと明らかにし、「私は軍隊に出動を命じたいと思っていたが、国防相の決断は極めて遅く、同盟国に支援を求めざるを得なかった」と主張した。「リーダーシップの欠如が混乱を拡大させたのです...」

また国営メディアによると、議会は国家安全保障会議の議長から前大統領で独裁者のヌルスルタン・ナザルバエフ氏を追放するというトカエフ大統領の決定を支持したという。

トカエフ大統領は抗議が激しくなった5日にナザルバエフ前大統領と親交の深い指導者のひとりを追放した。この決定はデモ隊の怒りを和らげるのではなく、ナザルバエフ前大統領の勢力を弱体化させるためのものだったと考えられている。

ナザルバエフ前大統領はソ連解体後29年間大統領を務め、2019年に辞任したが、国家安全保障会議にとどまり影響力を維持していた。

一部の専門家はトカエフ大統領と前大統領の不仲が今回の暴動を悪化させた可能性があると指摘している。

2週間以上沈黙を守っていたナザルバエフ前大統領は18日に声明を発表し、国家安全保障会議の議長を変更するというトカエフ大統領の決定を支持した。「私は首都で隠居生活を楽しんでいる引退者です。後任もカザフスタンの安全保障を確立するために国に尽くすでしょう」

2022年1月5日/カザフスタン、最大都市アルマトイの治安部隊(Vladimir Tretyakov/AP通信)
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