◎最大都市アルマトイの死者は103人で、そのうち3人は4歳の少女を含む未成年だった。
2022年1月9日/カザフスタン、旧首都アルマトイ(Vladimir Tretyakov/NUR.KZ/Getty Images/AFP通信)

1月9日、カザフスタン当局は最大都市アルマトイを含む主要都市の暴動でこれまでに164人の死亡を確認したと発表した。

燃料価格の高騰に抗議するデモは西部マンギスタウ州のジャナオゼンから全国に拡大し、一部のデモ隊は政治的な不満を当局にぶつけた。デモ隊と治安部隊の衝突は5日にエスカレートしたと伝えられている。

内務省は9日の声明で、これまでに警察官16人の死亡を確認し、1,300人以上が負傷したと述べ、大統領府は外国人を含む暴動に関与したテロリスト約6,000人を拘束したと明らかにした。

ロシアの国営メディアは9日にアルマトイで複数の銃撃音を聞いたが、それが法執行機関によるものかどうかは分からないと報じている。カシムジョマルト・トカエフ大統領は7日の声明で暴動に関した者をテロリストと呼び、「警告なしでテロリストを殺すよう命じた」と発表していた。

ロシアを含む集団安全保障条約機構(CSTO)の同盟国はトカエフ大統領の支援要請に基づき、カザフスタンに兵士を派遣している。ロシアのイタルタス通信は、「ロシア軍の先発部隊は秩序を取り戻すために現地入りした」と報じた。

一方、トカエフ大統領は9日の声明で、「軍は”浄化作戦”を継続し、主要施設の安全を確保したため、地域の治安は安定した」と述べた。

またトカエフ大統領は、「2万人のテロリストがアルマトイを攻撃したため、治安部隊に警告なしでテロリストを射殺するよう命じた」と述べ、暴動に関与した者を厳しく非難した。

地元メディアによると、アルマトイやマンギスタウ州などに出された非常事態宣言はしばらく継続される可能性が高いという。住民は不要不急の外出を控えるよう命じられている。

また地元メディアは、「保健省は9日の声明で164人の死亡を確認したと発表したが、その中に死亡した警察官16人が含まれているかどうかは分からない」と報じた。保健省は先日の声明で暴動の犠牲者は数十人にのぼると報告していた。

保健省は声明の中で、アルマトイの死者は103人で、そのうち3人は4歳の少女を含む未成年だったと明らかにした。

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は9日に放送されたABCニュースのインタビューの中で、トカエフ大統領の射殺命令を非難した。「命令は明らかに間違っており、速やかに取り消されるべきです...」

またブリンケン国務長官は、「カザフスタンには法と秩序を維持しながら国家を守る能力があるため、平和的な抗議者の権利を尊重し、彼らが提起した懸念に対処することができる」と強調した。ブリンケン国務長官は7日の記者会見でCSTOの介入に疑問を投げかけていた。

カザフ当局は8日、国家反逆罪で国家安全保障委員会のカリフ・マシモフ前委員長を逮捕したが、容疑の詳細は明らかにしなかった。国家安全保障委員会は旧ソ連のKGBの任務を引き継ぎ、防諜、国境管理、テロ対策活動などにあたっている。

地元メディアによると、一部の閣僚は暴動を抑えることに失敗した責任を取り辞任したという。政府の報道官は9日、「トカエフ大統領は11日に新しい内閣を議会に提案する」と述べた。

カザフスタンは中央アジアを代表する天然資源に恵まれた国で、ロシアと緊密な関係を維持している。2019年に政界を引退したヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領は30年にわたって地位を維持した。現職のトカエフ大統領も権威主義者と見なされている。

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