◎インドの鉄道網は世界最大級であり、歴代政府が数十億ドルを投じてインフラを整備したにもかかわらず、事故が多発している。
2023年6月2日/インド、東部オディシャ州バラソール、脱線した旅客列車と野次馬(Press Trust of India/ロイター通信)

インド当局は2日、東部オディシャ州バラソール近郊で発生した旅客列車2本と貨物列車が絡む衝突事故について、これまでに288人の死亡を確認し、約900人が病院に搬送されたと発表した。

州消防当局は200台以上の救急車が現場で対応に当たっていると報告した。

事故は2日深夜に発生。旅客列車1本が脱線し、隣接する線路を走っていた別の列車に衝突したと伝えられている。

地元通信社プレス・トラスト・オブ・インディアは同国史上最悪の鉄道事故になる可能性があると報じた。死者数は暫定値であり、さらに増加するとみられる。

列車を運行するインド鉄道によると、衝突したのは2本の旅客列車。現場付近に停車していた貨物列車が巻き込まれた。

オディシャ州消防局はツイッターに声明を投稿し、288人の死亡を確認したと書き込んだ。また、100人以上の医療従事者が追加要員として現場に派遣されたとしている。

モディ(Narendra Modi)首相は犠牲者に哀悼の意を表し、被害に遭った人々にできる限りの支援を提供すると表明した。

地元テレビ局の取材に応じた生存者は「事故が起きたとき、10~15人が私の上に落ちてきて、すべてがおかしくなってしまった。私は一番下にいた」と語った。「手と首の後ろを負傷しました。外に運び出される前、手や足を失った人や、顔が歪んでいる人を見ました...」

プレス・トラスト・オブ・インディアによると、現地時間19時頃に旅客列車が脱線し、そのうちの何両かが隣の線路に乗り上げ、走ってきた別の旅客列車と衝突したという。

現場付近に停車していた貨物列車も事故に巻き込まれたとみられるが、それ以上の詳細は明らかにされていない。

現場には救助隊員、警察官、生存者や野次馬とみられる人々が入り乱れ、列車に閉じ込められた人々の救助に当たった。

地元のバス会社も負傷者の搬送を手伝ったと伝えられている。

インドの鉄道網は世界最大級であり、歴代政府が数十億ドルを投じてインフラを整備したにもかかわらず、事故が多発している。

同国で最も多くの死者を出した鉄道事故は北部ビハール州で1981年に発生した事故で、500~800人以上が死亡したと推定されている。

この時はサイクロンの強風で過密状態の列車が線路から河川に転落。多くの乗客が溺死したとされ、遺体の大半は発見されなかった。

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