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香港政府、初の5カ年計画策定へ、パブリックコメント

政府当局者は記者会見で、「この計画は自由市場経済を否定するものではなく、長期的な政策目標を明確にすることで市場の安定的な発展を促すものだ」と説明した。
2026年6月15日/香港、5カ年発展計画の策定に向けたパブリックコメントについて説明する政府当局者(AP通信)

香港政府は15日、同国初となる5カ年発展計画の策定に向けた意見募集を開始した。中国本土で実施されている「5カ年計画」を参考にした取り組みで、1997年の返還以降進んできた香港と中国本土との統合を象徴する政策として注目を集めている。

香港はこれまで自由放任主義と市場主導型経済を特徴としてきた。政府が経済活動に直接関与することは比較的少なく、長年にわたり国際金融センターとして発展してきた。しかし近年は、中国共産党が推進する国家戦略との連携を強める方向へ政策が転換している。今回の5カ年計画もその流れの一環であり、中国の第15次5カ年計画(2026~30年)との整合性を図りながら香港の発展方針を定めることが目的である。

政府当局者は記者会見で、「この計画は自由市場経済を否定するものではなく、長期的な政策目標を明確にすることで市場の安定的な発展を促すものだ」と説明した。政府は今後2カ月間にわたり、市民や企業、業界団体から意見を募集し、9月末までに最終版を公表する方針である。意見提出は専用ウェブサイトや電子メール、郵送などで受け付ける。

計画の重点分野としては、国際金融・海運・貿易センターとしての地位強化に加え、中国・広東省深圳市に隣接する「北部都会区(ノーザン・メトロポリス)」開発の加速が掲げられている。同地域では先端技術産業や大学都市の建設が進められており、香港経済の新たな成長エンジンとして期待されている。また、中国政府が推進する「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」構想との連携強化も重要課題となっている。

ジョン・リー(李家超、John Lee)行政長官は今月の演説で、「有能な政府」と「効率的な市場」を結び付けることが計画の狙いだと強調していた。政府は計画によって企業の投資判断を容易にするとともに、市民に将来の雇用や成長分野に関する見通しを示したい考えである。さらに、人工知能(AI)や先端技術産業の育成、質の高い雇用創出、生活水準の向上も政策目標として検討されている。

一方で、専門家の間では懸念の声も上がっている。香港大学のジョン・バーンズ(John Barnes)教授は戦略的な長期計画自体には意義があるとしながらも、香港の公的な意見募集は過去に政策へ十分反映されなかった事例が多いと指摘する。また、2019年の大規模抗議デモ以降、香港では国家安全維持法の施行や選挙制度改革によって政治的自由が大幅に制限され、今回の計画も中国本土とのさらなる一体化を進める動きと見る向きがある。

香港政府は経済競争力の維持と成長戦略の明確化を目指しているが、市民の意見がどこまで政策に反映されるのか、また自由市場を重視してきた香港の特色が今後どのように変化するのかが注目されている。

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