◎パキスタンは9日、武装勢力のテロ攻撃が急増する中、全国でポリオ予防接種キャンペーンを開始した。
パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州でオートバイに乗った武装集団がポリオ予防接種キャンペーン中のチームに向かって発砲し、警察官1人と医療従事者1人が死亡した。警察が11日、明らかにした。
現場は州都ペシャワル近郊の地区。武装集団は現場から逃亡した。犯行声明を出した組織は確認されていない。
内務省はこの攻撃を非難し、陸軍と警察が容疑者を追跡していると声明を出した。
パキスタンは9日、武装勢力のテロ攻撃が急増する中、全国でポリオ予防接種キャンペーンを開始した。
パキスタンとアフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。パキスタンのポリオ予防接種キャンペーンは定期的に暴力に見舞われている。
カイバル・パクトゥンクワ州・南ワジリスタン地区では9日、予防接種の警備に当たっていた警察車両が路上爆弾に接触し、警察官6人と民間人3人が負傷。地元メディアによると、イスラム国(ISIS)が犯行声明を出したという。
パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療関係者らを標的にしている。
医療当局は約3000万人の子供にポリオワクチンを接種する予定だ。今年1月以来、17人のポリオ感染者が報告されている。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。