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中国東方航空機墜落事故、飛行中に両エンジン停止、コックピット内で争いか

2022年3月21日、高度約8900メートルを巡航中に突然急降下し、広西チワン族自治区の山中に墜落。乗客123人、乗員9人の計132人全員が死亡し、中国では約30年ぶりとなる大規模航空事故となった。
2022年3月24日/中国、広西チワン自治区の墜落現場(Lu Boan/Xinhua News Agency/AP通信)

2022年3月に中国・広西チワン自治区で発生し、132人が死亡した中国東方航空機の墜落事故を巡り、米国家運輸安全委員会(NTSB)が新たに公開した分析資料から、墜落直前に両エンジンの燃料供給が停止され、操縦室内で何らかの争いが起きていた可能性が浮上した。事故原因をめぐっては不透明な状態が続いていたが、今回の資料は「意図的な操作」が行われた疑いを強く示している。

事故機は中国東方航空のボーイング737型機で、昆明から広州へ向かっていた。2022年3月21日、高度約8900メートルを巡航中に突然急降下し、広西チワン族自治区の山中に墜落。乗客123人、乗員9人の計132人全員が死亡し、中国では約30年ぶりとなる大規模航空事故となった。

NTSBは情報公開請求を受けてフライトレコーダーの解析内容を公表した。それによると、墜落の約23秒前、操縦席にある左右両エンジンの燃料スイッチが「RUN」から「CUTOFF」に切り替えられていた。これにより両エンジンが停止し、自動操縦も解除されたという。さらに、その直後に機首を急激に下げる操作が加えられ、機体は360度回転しながら急降下した。

航空安全の専門家は737型機の燃料スイッチについて、「偶然触れただけでは動かない構造になっている」と指摘する。レバーを引き上げてロックを外した上で操作する必要があるため、誤作動の可能性は低く、誰かが意図的に燃料供給を遮断した疑いが強いという。航空安全コンサルタントのジョン・コックス(John M. Cox)氏は「レバーは固定されており、自然に切り替わることは考えにくい」と指摘している。

また、記録には操縦輪が前後に激しく動く様子も残されており、操縦士同士が異なる操作を行っていた可能性がある。元NTSB調査官のジェフ・グゼッティ(Jeff Guzzetti)氏はデータから、「操縦室内での争い」を示唆する兆候が読み取れると分析している。一方の操縦士が急降下を試み、もう一方が立て直そうとしていた可能性も指摘されている。

ただし、事故原因は依然として確定していない。中国民用航空局(CAAC)は最終報告書を公表しておらず、コックピットボイスレコーダー(CVR)の内容も公開していない。国際基準では通常1年程度で最終報告をまとめることが求められるが、事故から4年以上が経過した現在も詳細は明らかになっていない。

今回の資料公開により、事故が機体トラブルではなく人的要因による可能性が再び強く意識される形となった。航空業界では2015年に副操縦士が故意に機体を墜落させたとされるジャーマンウイングス9525便の事故以降、操縦士の精神状態やメンタルケアの重要性が課題となっている。専門家は再発防止には操縦士が心理的問題を抱えた際に安心して支援を受けられる環境整備が必要だと指摘している。

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