◎オーストラリアの直近1週間のコロナウイルス新規陽性は1日あたり約88,000件まで増加した。
2020年8月5日/オーストラリア、ビクトリア州メルボルンの公園(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

1月13日、オーストラリアの保健当局によると、直近1週間のコロナウイルス新規陽性は1日あたり約88,000件まで増加したという。死亡者の増加率は新規に比べるとはるかに低いが、確実に増加している。

ニューサウスウェールズ州シドニーの次に感染の深刻なビクトリア州メルボルンの住民は昨年、州政府の方針に基づき、1年の大半をロックダウン状態で過ごした。

オーストラリア放送協会(ABC)の取材に応じたメルボルンの男性は、「勤務先のイベント会社がコロナに苦しめられたが、何とか生活を維持することができた」と語った。

男性によると、昨年10月の制限緩和以降、イベント会社の収益はゆっくり回復し始めていたという。しかし、オミクロン株の登場で事態は一変し、自主的に引きこもりを再開する住民が増えた影響で業績は再び悪化した。

オーストラリアのコロナ対策は西側諸国の中で最も厳しく、ワクチン接種率は人口の80%を超えたが、今回初めて経験する爆発的な感染拡大は住民を不安にさせ、ソーシャルメディアには「本当にこれでいいのか?」という投稿が相次いで寄せられた。

世界を騒がせているジョコビッチ事件もオーストラリア人をイラつかせ、12日に流出したジョコビッチ選手を罵倒するメディア関係者の動画は多くの賛同を集めた。

チャンネル7のキャスターであるマイク・エイモア氏とレベッカ・マーデルン氏は11日の番組収録前にジョコビッチ選手を「卑劣な嘘つき」と罵倒していた。チャンネル7は2人の発言を「個人の見解」と擁護し、収録前の会話が録画された経緯を調べている。

政府の医療専門家によると、ここ数日の間に確認された約60万件の陽性は氷山の一角に過ぎず、市中にはこの数倍の陽性者がいる可能性が高いという。

ニューサウスウェールズ州は先月末、マスクの着用を再度義務化したが、手遅れだった。

死者と入院患者に新規ほどの勢いはないが、コロナワクチンはオミクロン株の感染を止めず、住民の大多数がノーマスクで市内をうろつけば感染は拡大する。なお、オーストラリアのワクチン展開は欧米に比べると開始が遅かったため、ブースター接種はまだ本格的に始まっていない。

南オーストラリア大学の生物統計学および疫学の専門家であるエイドリアン・エスターマン博士はABCのインタビューの中で、「私たちはうまくやっていた」と語った。「私たちは安全に社会活動を再開させる方法を知っています。ワクチンを接種し、換気を徹底し、感染リスクの低いエリアではマスクをゆっくり外し、混雑するエリアではマスクを着用してください...」

高いワクチン接種率のおかげ医療崩壊は回避できているが、オーストラリア医師会のオマール・ホルシッド会長は、西側のモデルケースと呼ばれたオーストラリアの評価が急落したことに懸念を表明した。「私たちはオーストラリアの10万人あたりの陽性数が世界で最も低かったことを覚えています。昨年の制限緩和とオミクロン株の発生がほぼ一致したことを残念に思います...」

国民は昨年、連邦政府のゼロコロナからWithコロナへの方針転換を歓迎したが、オミクロン株の登場以来、「方針を見直した方がよいかもしれない」という意見が相次いで寄せられている。

スコット・モリソン首相は今週の記者会見で、「オミクロン株はすべてを変えたが、政府はオープンを保ち、経済活動を前進させます」と語った。

オミクロン株の重症化リスクはデルタ株に比べると低いと考えられているが、オーストラリア人は急な感染拡大に困惑し、迅速検査キットの購入に走った。ABCによると、シドニーやメルボルンなどの主要都市ではキット不足が特に顕著だという。

シドニー在住の女性はABCの取材に対し、「PCR検査の結果は数日経っても通知されず、迅速検査キットは全く手に入らない」と嘆いた。

ABCによると、州の保健所や医療機関は検査数の急増に対応できず、PCR検査の通知遅れが常態化しているという。

女性は連邦政府の方針に不満を表明し、陽性数の劇的な増加に驚いたと述べた。「私はロンドンに友達がたくさんいます。彼らはオーストラリアを見てニヤニヤ笑っていました」

ジョコビッチ事件の当事者であるセルビアのテニススター、ノバク・ジョコビッチ氏は当局のワクチン接種免除を受け、ビクトリア州の空港に到着し、ビザを取り消された。メルボルンの裁判所は当局の決定を覆したが、オミクロン株の急拡大に直面している一部の住民は不満を表明した。

ソーシャルメディアには、ジョコビッチ選手を罵倒したチャンネル7のマイク・エイモア氏とレベッカ・マーデルン氏を称賛する投稿が相次いで寄せられた。あるツイッターユーザーは「私たち全員が思っていることを代弁してくれてありがとう」と投稿した。

別のユーザーは、「2人を”今年のオーストラリア人”に選出します」と書き、称賛した。

スコットランドのグラスゴー在住のアリス・ランバートン氏は、オーストラリアのクイーンズランド州で生活している母親と3年近く会えずにいる。

BBCニュースによると、ランバートン氏はワクチン接種をすでに終えているが、近親者を含む外国人旅行者の入国を厳しく制限しているオーストラリア政府の方針により、入国申請を8回却下されたという。

ランバートン氏はBBCに、「ノバクはたくさんお金を持っている有名なスポーツ選手なので、自分のやりたいように行動し、好きなように入国できます」と語った。

オーストラリアは昨年、ハリウッドスターのザック・エフロン氏、マーク・ウォールバーグ氏、マット・デイモン氏、ジュリア・ロバーツ氏、その他の有名人の優先入国を認め、海外で生活する市民を置き去りにしたと非難された。

全豪オープンテニスは1月17日に堂々開幕する予定。

2022年1月8日/オーストラリア、ビクトリア州メルボルン、ノバク・ジョコビッチ選手の拘留に抗議する人々(Hamish Blair/AP通信)
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