◎スコット・モリソン首相は8日、記者団に「ボイコットは当然」と語った。
2021年2月3日/インドのダラムサラで開催された2022北京冬季五輪の開催に反対する街頭抗議(AP通信/Ashwini Bhatia)

12月8日、オーストラリアのスコット・モリソン首相は北京2022冬季五輪の外交ボイコットを表明し、中国の人権問題を厳しく非難した。

反共産党のモリソン首相は記者団に、「ボイコットは当然」と語った。「オーストラリアは国益のためにボイコットします。当然のことです。ボイコットは正しい...」

外交ボイコットを表明した国は米国に次いで2カ国目。ニュージーランドはコロナウイルスの懸念により、外交官を派遣しないと発表した。

オーストラリアと中国の関係はここ数年で急速に悪化した。オーストラリア政府は今年9月、中国のTPP加盟申請に反対し、中国包囲網のひとつであるインド太平洋地域における米英豪の新しい安全保障枠組みオーカス(AUKUS)に参加すると発表した。

モリソン首相は、「アスリートは大会に参加するだろう」と述べたうえで、中国の人権侵害とオーカスに対する共産党の批判を非難した。「中国は原子力潜水艦を保有するというオーストラリアの努力に特に批判的でした...」

米国とイギリスはオーカス締結に基づき、オーストラリアに初めて原子力潜水艦の技術を提供する予定。

モリソン首相は中国との対話を望んでいたが、共産党は要請を受け入れなかったと批判した。「オーストラリアは中国との協議を望んでいましたが、彼らは一貫して私たちを受け入れませんでした」

中国は昨年、オーストラリア産の牛肉やワインなどに追加関税を課した。

これに対し、オーストラリアは外国投資法を改正することで一部の中国企業の国内参入を阻止し、5G(次世代通信規格)への参入制限を強化してファーウェイの国内展開を厳しく制限した。

主要な権利団体は少数民族ウイグル族、香港、台湾などに対する共産党の権利侵害を非難し、北京2022を「ジェノサイドオリンピック」と呼び、各国に完全ボイコットを呼びかけている。

米国とオーストラリアは外交官の派遣を見送ったが、選手は大会に参加する予定である。

オーストラリアの国内五輪委員会は8日、大会に出場する選手は外交ボイコットの影響を受けないと声明を発表した。

委員会のマット・キャロルCEOは声明の中で、「私たちは五輪のために4年間トレーニングを積み、夢のために競争してきたアスリートを全力で支援する」と述べた。

一方、中国外務省の趙立堅(ちょうりつけん)報道官は7日の会見で米国の外交ボイコットを非難し、「米国は中立であるべきスポーツの場に政治を持ち込んだ」と述べ、何かしらの制裁で報復すると示唆した。

また趙立堅 報道官は、ホワイトハウスが発表した外交ボイコットに至った理由を「嘘と噂に基づくもの」と述べ、厳しく非難した。

北京2022の外交ボイコットの呼びかけは、中国のテニス選手である彭帥(ポン・シュアイ)選手の失踪事件で一気に加熱した。彭帥 選手は先月、共産党の最高幹部に性的暴行を受け、セックスを強要されたと告発し、行方不明になった。

反共産党の急先鋒であるカナダと日本も外交ボイコットを検討していると伝えられている。

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