オーストラリアとソロモン諸島、二国間条約の交渉開始、首脳会談で確認
ソロモン諸島は豪州の北東約1600キロに位置する島嶼国で、近年中国との関係強化によって国際的な注目を集めてきた。
とソロモン諸島のワレ首相(ロイター通信).jpg)
オーストラリアとソロモン諸島の首脳は3日、両国関係を強化するための包括的な二国間条約の締結に向けて交渉を開始することで合意した。首都キャンベラを訪問したソロモン諸島のワレ(Matthew Wale)首相とアルバニージー(Anthony Albanese)首相が共同記者会見で発表した。太平洋地域で影響力拡大を図る中国を念頭に置いた動きとみられ、地域の戦略環境に新たな変化をもたらす可能性がある。
ワレ氏は先月就任したばかり、今回の豪州訪問が初の外遊となった。アルバニージー氏はソロモン諸島の要請を受けて両国関係を格上げし、新たな包括的条約の策定に着手すると説明した。これに対しワレ氏は「ソロモン諸島は豪州の友人であり、これまでも、そしてこれからもそうであり続ける」と述べ、伝統的な友好関係を重視する姿勢を示した。
ソロモン諸島は豪州の北東約1600キロに位置する島嶼国で、近年中国との関係強化によって国際的な注目を集めてきた。2022年には中国と安全保障協定を締結し、中国警察による訓練支援などが進められた。この動きに対し、豪州や米国は中国が南太平洋で軍事的影響力を拡大する足掛かりになるとして強い懸念を示してきた。
今回の合意では、新条約の交渉に加え、両国の警察協力の強化も確認された。豪州はこれまでソロモン諸島の治安維持や警察能力向上を支援してきたが、今後協力をさらに拡大する方針だ。アルバニージー氏は豪州が「地域における安全保障上の第一のパートナー」であり続けたいとの考えを改めて表明した。
また豪州政府はサイクロン被害からの復旧支援やエネルギー価格高騰への対応として3500万豪ドル規模の支援を実施するほか、職業訓練や教育分野での奨学金枠を拡大する方針も示した。経済・人材育成面での支援を通じて、両国関係の基盤強化を図る狙いがある。
ワレ氏は過去に中国との安全保障協定の透明性向上を求めていた経緯があり、就任後は同協定を含む安全保障政策全般を見直す考えを示している。ただし、中国との関係そのものを否定する姿勢は見せておらず、今後は豪州、中国双方との関係を維持しながら国益を追求する外交を模索するとみられる。
豪州とソロモン諸島による包括的条約交渉の開始は、南太平洋地域を舞台とする豪中間の影響力争いの新たな局面を象徴する動きといえる。条約の具体的内容は今後協議されるが、その行方は地域の安全保障環境や外交に少なからぬ影響を与えそうだ。
