◎オーストラリア議会は、ジョシュ・フライデンバーグ財務長官とフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOの間で合意された「ニュースメディア交渉コード法案」の最終修正案を可決した。
2021年2月25日 Getty Images/オーストラリア、首都キャンベラ、スコット・モリソン首相

2月25日、オーストラリア議会はグーグルとフェイスブックに、プラットフォームに掲載されたニュースコンテンツに対する使用料(掲載料)の支払いを奨励する法案を可決した。

世界を牛耳るグーグルとフェイスブックは使用料を徴収するこの法案に強く反対していた。

フェイスブックは先週、オーストラリアのメディアの記事をブロックしたが、政府と交渉した結果、ブロックを解除することに合意した。

議会はジョシュ・フライデンバーグ財務長官とフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOの間で合意された「ニュースメディア交渉コード法案」の最終修正案を可決した。

法案を起草した競争規制当局のロッド・シムズ氏はオーストラリア放送協会(ABC)のインタビューの中で、「新たな法律がオーストラリアの出版社とハイテク企業の不均衡に対処することを嬉しく思う」と述べた。

ロッド・シムズ氏:
「この法律の目的は、グーグルとフェイスブックの市場支配力に対処することです。グーグルとフェイスブックはメディアを必要としていますが、特定のメディア企業は必要ではないと主張していたため、有益なニュースコンテンツも商取引を行うことができませんでした」

一方、グーグルはニューズ・コーポレーションやセブンウェストメディアを含む主要メディア企業との取引(使用料の支払い)に合意している。これらの取引は妥協案と考えられているが、取引していないメディアはこれまでと同じく、グーグルのプラットフォームにニュースコンテンツが掲載されても使用料は得られない

この法律はグーグルとフェイスブックのプラットフォーム上に掲載されたニュースコンテンツに使用料を支払うよう「奨励」するものであり、世界から「ハイテク企業の独占を打ち負かす」参考になるとして注目を集めている。

Getty Images/アメリカ、カリフォルニア州、グーグル本社

オーストラリアの地方紙を代表するカントリー・プレス・オーストラリアは、大都市外で活動している小さな出版社は見過ごされる可能性があると報じた。

シムズ氏はグーグルが大手メディアと取引を行ったことは想定内としたうえで、「すべてのジャーナリズムが恩恵を受けることを誰もが願っている」とABCに語った。

ロッド・シムズ氏:
「目的の達成には時間がかかります。グーグルとフェイスブックも全てのメディアに無限に使用料を支払うことはできないでしょう。法律を上手く機能させるためには、かなり時間がかかると思います」

オックスフォード大学のビジネススクールのクリス・モース氏はAP通信の取材に対し、「この法律はザッカーバーグCEOにとって小さな勝利に相当する」と述べた。

クリス・モース氏:
「この法律により、オーストラリアのほとんどの出版社は少額の使用料を得られるかもしれません。しかし、法律はあくまで使用料の支払いを奨励するものであり、交渉が決裂すればフェイスブック(グーグル)は対象のニュースを再びブロックする可能性があります」

この法律はフェイスブックとグーグルが出版社と使用料交渉を行う際の立場の乱用を禁じており、交渉が決裂した場合は仲裁裁判所が拘束力のある決定を下すことになっている。

ただし、使用料を得るために必要なコードをニュースコンテンツに適用するためには、政府の審査(記事の有益度、貢献度、取引内容などをチェックする)をクリアしなければならない

フェイスブックは「有益なコンテンツは対価を得る」と主張しており、政府の審査をクリアしたコンテンツであれば問題ないと判断し、フライデンバーグ財務長官との交渉に合意したと伝えられている。

フェイスブックはオーストラリアのメディアをブロックしたことで厳しく非難された。また、ニュースコンテンツ以外の記事(政府の保健機関など)もブロックしたことを認めている。

フェイスブックの強力な行動はオーストラリアの法律に強い関心を示しているカナダ、EU、イギリスなどに対する警告と解釈されている。

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