◎ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
ベネズエラ、首都カラカス、全野党の統一候補ゴンザレス氏(右)とマチャド元議員(ロイター通信)

ベネズエラ・カラカスの地方裁判所が2日、先月の大統領選に立候補した全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の逮捕状を発行した。

判事は検察の要請に基づき、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして、令状を発行。現地メディアによると、ゴンザレス氏の陣営はコメントを出していない。

当局はゴンザレス氏が検察の出頭要請を3回無視したと非難。地裁に令状を求めたとしている。

独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。

米国を含む数カ国が選挙の勝者を全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。

しかし、最高裁判所は先月末、マドゥロ氏の勝利を認定した。

ゴンサレス氏は選挙翌日以来、公の場に姿を現していない。

検察は野党陣営が公表した数千の集計表を押収したいと考えているようだ。これはすでに電子化され、野党のホームページなどで自由に閲覧できるようになっている。

マドゥロ氏が大好きな選管は集計が終わっていないにもかかわらずマドゥロ氏の勝利を勝手に宣言したが、集計表は最後まで公表せず、欧米諸国の要請も無視し続けた。

選管はウェブサイトがハッキングを受けたため、詳細な情報は公表できないと主張している。

地元メディアによると、ベネズエラの全政党はすべての投票所から集計表を入手する権利を有している。

マドゥロ陣営は野党の書類入手を妨害しようとしたが、野党はその80%以上を確保し、その内容を世界に公表した。

ゴンサレス氏と全野党の指導者マチャド(María Corina Machado)元議員はマドゥロ氏が大差で敗れたことを示す文書に署名し、選管に勝者を変更するよう求めている。

結果の内訳を公表するよう求める国際的な圧力が高まる中、マドゥロ氏は選挙プロセスの監査を高等裁判所に依頼したが、高裁判事はマドゥロ氏に近すぎて独立した調査を期待できないとして、海外のオブザーバーから即座に批判を浴びた。

現在の最高裁と高裁判事はほぼ全員、マドゥロ氏が選び、マドゥロ氏の与党が多数派を占める国会で承認された。

チリ政府は2日、ゴンサレス氏の逮捕状発行を非難し、「独裁政権の反対者に対するいかなる弾圧も許さない」と改めて表明した。

ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。

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