◎最高裁はマドゥロ大統領の応援団で構成されており、政府に不利な判決を下すことはない。
2024年7月29日/ベネズエラ、首都カラカス、大統領選に立候補したゴンザレス候補(左)とマチャド元議員(AP通信)

ベネズエラの最高裁判所は22日、先月行われた大統領選の結果を認定し、野党が偽情報を拡散していると非難した。

最高裁は独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の勝利を認定。野党の主張を「偽物」と呼んだ。

最高裁はマドゥロ氏の応援団で構成されており、政府に不利な判決を下すことはない。

マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。

米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。

最高裁は全野党がネット上に公開した集計結果の一部を「偽物」と非難した。

首都カラカスでは21日、野党議員や外国の外交官による会合が開かれ、政府と選管に対し、透明性のある結果を公表するよう改めて要求した。

政府は北マケドニアのハッカーがサイバー攻撃を仕掛け、選挙当夜の開票と結果の公表が遅れたと主張しているが、その証拠は示していない。

ゴンザレス氏は候補者の中で唯一、最高裁の監査に参加しなかった。最高裁はこれを非難し、ゴンザレス氏が偽情報を拡散し、暴動を煽っていると主張した。

司法当局は今月初め、全野党が軍に対し、マドゥロ氏への忠誠を再考するよう促したことを受け、ゴンザレス氏と全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員に対する犯罪捜査を開始すると発表した。

捜査がどの程度進んでいるかは不明。ゴンザレス氏とマチャド氏は国家反逆罪を含む複数の罪に問われる可能性がある。

政府に抗議するデモは鎮静化しつつあるものの、カラカスを含む各都市で続いている。

警察による取り締まりで逮捕されたデモ参加者は2000人以上。少なくとも24人がこの取り締まり中に死亡したとされる。警察は逮捕者と死傷者の数を公表していない。

ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。

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