◎コロンビアとベネズエラの関係は自国の経済危機、国境を越えるベネズエラ人移民の急増など、さまざまな問題の影響でこじれていた。
2022年6月19日/コロンビアの次期大統領グスタボ・ペトロ氏(Luisa Gonzalez/ロイター通信)

コロンビア当局は28日、ペトロ(Gustavo Petro)次期大統領の就任に合わせてベネズエラ大使を任命すると発表した。

ベネズエラ政府も同日、ぺトロ氏の就任に合わせてコロンビアの首都ボゴタに新大使を送るとした。

この声明はベネズエラの外相とコロンビアの次期外相が国境の町で会談した後に発表された。

元左翼ゲリラのペトロ氏と同国初の黒人女性副大統領となるマルケス(Francia Marquez)氏は8月7日に就任する予定。

両国は声明の中で、「8月7日に大使や外交官を指名し、二国間の関係を徐々に正常化させる取り組みを進めていく」とした。

また両国は国境付近の安全と平和を確立するために努力することで一致した。

コロンビアとベネズエラの関係は自国の経済危機、国境を越えるベネズエラ人移民の急増など、さまざまな問題の影響でこじれていた。

また両国を隔てる約2200kmの国境沿いは、左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」と「民族解放軍(ELN)」を含む武装勢力の対立の場になってきた。

コロンビアのドゥケ(Ivan Duque)大統領はベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が武装勢力をかくまっていると非難している。

一方、マドゥロ氏はドゥケ氏がベネズエラ政府の転覆工作に関与したと主張し、緊張をあおった。

ドゥケ氏はマドゥロ氏の再選(2019年)を認めず、両国の関係は著しく悪化した。

しかし、まもなく就任する左派のペトロ氏はベネズエラとの関係修復を有権者に約束し、多くの支持を集めた。

ペトロ政権の次期外相レイバ(Alvaro Leyva)氏は28日、ベネズエラとの国交正常化を「歴史的」と呼んだ。

両国の国境は2019年~2021年10月までの間封鎖され、大使館や領事館の閉鎖は今も続いている。また国境開放後も両国を結ぶ航空便は運航を停止したままである。

ペトロ氏はコロンビア内戦を終結させるために、右派の準軍事組織やFARCなどの左翼ゲリラと交渉し、対立を解消するとしている。

コロンビア政府が6月に公表したレポートによると、60年近く続く内戦の犠牲者は45万人を超えたという。

一方、ベネズエラは近年、政情不安に悩まされている。

国連によると、米国の厳しい経済制裁、経済的混乱、食料や医薬品の不足、暴力によって、ベネズエラの市民数百万人が国外に逃亡したという。

ベネズエラの経済はマドゥロ氏が就任した2013年以降、急降下を続けており、2021年のGDPは10年前の2割以下に落ち込んだ。

2022年6月11日/イラン、首都テヘラン、ライシ大統領(右)とベネズエラのマドゥロ大統領(Vahid Salemi/AP通信)
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