SHARE:

米国務省、ブラジルの2大麻薬組織を「外国テロ組織」に指定

国務省は声明で、両組織が麻薬密売や武器取引、資金洗浄、人身売買などを通じて国際的な犯罪ネットワークを構築していると指摘した。
2025年10月28日/ブラジル、リオデジャネイロ郊外のスラム街、治安部隊とギャングの構成員(Getty Images/AFP通信)

米国務省は28日、ブラジル最大級の犯罪組織「PCC(首都第一コマンド)」と「CV(赤コマンド)」を外国テロ組織に指定したと発表した。トランプ政権は中南米地域で拡大する麻薬取引や組織犯罪への対策強化を掲げており、今回の指定はその一環となる。

国務省は声明で、両組織が麻薬密売や武器取引、資金洗浄、人身売買などを通じて国際的な犯罪ネットワークを構築していると指摘した。また、南米各国だけでなく米国内にも影響を及ぼしているとして、安全保障上の脅威と位置付けた。外国テロ組織に指定されると、米国内にある資産の凍結や、関係者への制裁、資金提供の禁止など厳しい措置が適用される。

PCCは1990年代にサンパウロ州の刑務所内で結成された犯罪組織。ブラジル最大規模のギャングとして知られる。麻薬密輸や銀行強盗、武器取引などを通じて勢力を拡大し、近年は隣国パラグアイやボリビアなどにも活動範囲を広げている。一方のCVはリオデジャネイロを拠点とする古参組織で、ファベーラと呼ばれる貧困地域を中心に強い影響力を持つ。両組織は対立と抗争を繰り返しており、多数の死者を伴う暴力事件の原因となってきた。

今回の指定について、ブラジル政府はコメントを出していないが、一般市民からは懸念の声も上がっている。専門家はギャングを「テロ組織」として扱うことで、治安対策が軍事化し、人権侵害や過剰な武力行使につながる可能性があると指摘している。また、麻薬カルテル対策を進める米国が、中南米諸国への影響力をさらに強めようとしているとの見方もある。

一方、米政府は組織犯罪とテロの境界が曖昧になっていると主張している。特に麻薬取引で得た資金が武装活動や腐敗の温床となり、国家機能を脅かしているとして、従来の犯罪対策だけでは不十分だとの認識を示した。今回の措置によって、米国とブラジルを含む中南米諸国との連携強化が進む可能性があるが、治安改善につながるかは不透明で、今後の対応が注目される。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします