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ガイアナ・ベネズエラ国境の係争地で銃撃戦、兵士1人負傷

ガイアナ外務省によると、事件は今月初め、国境を流れるクユニ川周辺で警備活動を行っていた部隊に対して発生した。
ガイアナ共和国/熱帯雨林と滝(Getty Images)

南米のガイアナベネズエラの間で続く領有権争いが再び緊張を高めている。ガイアナ政府は14日、両国国境付近でベネズエラ側から発砲があり、自国兵士1人が負傷したとして正式に抗議した。係争地「エセキボ地域」を巡る対立は、豊富な石油資源の発見以降、軍事的な緊張を伴う問題へと発展している。

ガイアナ外務省によると、事件は今月初め、国境を流れるクユニ川周辺で警備活動を行っていた部隊に対して発生した。兵士は脚を撃たれ負傷し、国防軍が応戦したという。ガイアナ政府は過去2年間にも同様の銃撃が繰り返されており、これまでに複数の兵士が被害を受けたと主張している。ガイアナ側はベネズエラに再発防止と調査を求めたが、ベネズエラ暫定政権は現時点で公式なコメントを出していない。

対立の舞台となっているエセキボ地域はガイアナ国土の約7割を占める広大な地域で、金やダイヤモンド、木材などの天然資源に加え、沖合には大規模な油田が存在する。近年は米石油大手エクソンモービルによる海底油田開発が進み、日量約90万バレルの原油生産が行われている。こうした資源価値の高まりが、両国の対立をさらに激化させている。

エセキボ地域を巡る争いは19世紀末にさかのぼる。1899年の国際仲裁裁判では当時の英領ギアナ側に領有権が認められたが、ベネズエラは後に「不当な裁定だった」と主張し、1966年の「ガイアナ・ベネズエラ国境紛争に関する協定」によって問題は未解決になったとしている。一方、ガイアナは仲裁判断の正当性を訴え、2018年に国際司法裁判所(ICJ)へ提訴した。

今月には、オランダ・ハーグのICJで両国による口頭弁論も行われた。ガイアナ側は「国家主権への重大な脅威だ」と訴えたのに対し、ベネズエラ側は「問題は司法判断ではなく外交交渉で解決すべきだ」と反論している。最終判断には数カ月を要するとみられるが、法廷闘争と並行して現地の軍事的緊張も高まっており、南米地域の新たな火種として国際社会の懸念が強まっている。

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