ブラジル・エンブラエル社が新型機を発表、2028年の納入開始目指す
フェノム300シリーズは2009年の就航以来、軽量ビジネスジェット市場で高い人気を維持してきた。
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ブラジルの航空機メーカー・エンブラエル社は14日、小型ビジネスジェットの新型機「フェノム300EV(Phenom 300EV)」を正式に発表した。これは同社の主力機「フェノム300」シリーズの最新モデルで、安全性や性能を向上させた仕様となっており、顧客への初号機納入は2028年に開始する予定である。
フェノム300シリーズは2009年の就航以来、軽量ビジネスジェット市場で高い人気を維持してきた。同機は高速性能や燃費効率、比較的広い客室空間を備え、企業幹部の移動やチャーター運航を中心に世界各国で導入が進んでいる。近年は同市場で最も多く納入された機種の一つとして知られ、エンブラエルのビジネス航空部門を支える主力製品となっている。今回発表された300EVは、その実績ある機体をさらに進化させた後継モデルと位置付けられる。
新型機では、安全性能と運航能力の向上が大きな特徴となる。エンブラエルによると、操縦支援システムや飛行制御機能を改良したほか、運航時の安全性を高める各種機能を追加した。また、機体性能も見直され、運航効率や快適性の改善が図られている。こうした改良により、企業や個人富裕層による移動需要に加え、チャーター会社や法人向け需要の取り込みを目指す考えである。
ビジネスジェット市場では、コロナ禍を契機にプライベートジェットへの需要が高まり、その後も企業の移動需要や富裕層による利用拡大を背景に市場は底堅く推移している。メーカー各社は競争力を維持するため、新型機の開発や既存機種の性能向上を進めており、フランスのダッソー・アビアシオンや米国のガルフストリーム、テキストロン傘下のセスナなどとの競争が激しさを増している。
エンブラエルは民間航空機に加え、防衛・ビジネス航空分野を成長の柱に位置付けている。商業航空機市場ではエアバスや米ボーイングとの競争が続く一方、利益率の高いビジネスジェット事業の拡大が経営戦略上の重要課題となっている。フェノム300EVの投入は、同社が高いシェアを持つ軽量ビジネスジェット市場で競争優位を維持し、今後の受注拡大につなげる狙いがある。
一方で、航空業界ではサプライチェーンの混乱や部品調達の遅れ、人材不足などが課題となっている。エンブラエルは2028年の納入開始を目標として開発を進める方針だが、今後は試験飛行や各国当局による型式証明の取得を経て量産体制を整える必要がある。300EVが市場でどの程度の受注を獲得できるかは、今後のビジネスジェット市場の動向を占う指標となりそうだ。
