アルゼンチンの若者に広がる債務危機、ミレイ大統領の経済改革に逆風
首都ブエノスアイレスでは、大学生の間でも生活費を補うために借金を重ねるケースが広がっている。
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アルゼンチンで若者を中心に家計債務が膨らみ、ミレイ(Javier Milei)大統領の支持基盤を揺るがす問題となっている。AP通信によると、同国の人口約4500万人のうちほぼ半数が何らかの借金を抱え、500万人以上が返済を滞らせている。25歳未満の延滞率は37.6%と全年代で最も高い水準に達しているという。
首都ブエノスアイレスでは、大学生の間でも生活費を補うために借金を重ねるケースが広がっている。18歳でブエノスアイレス大学に入学したマルティン・タボルダ(Martín Taborda)さんは、家族で初めて大学を卒業することを目指していたが、バイトをクビになったうえ、約1300ドルの債務を抱え、通学費や教材費を払えなくなった。その後借りた約100ドルの債務が、返済の遅れと高金利によって10倍以上に膨らんだという。
ミレイ政権は2023年12月の発足後、財政赤字の削減や補助金の削減など、急進的な自由主義改革を進めてきた。その結果、年間インフレ率は2024年初めの289%から、2026年7月には約34%まで低下し、マクロ経済の安定化では一定の成果を上げた。
しかし、インフレ鈍化がそのまま生活改善につながっているわけではない。ガスや電気、交通への補助金削減によって家計負担が増える一方、賃金上昇のペースは鈍化し、高い金利も続いている。銀行より手続きが簡単なデジタル決済アプリでは、リスクの高さを理由に年率3桁に達する金利が設定されるケースもあり、生活費を借金で補った結果、別の借金で返済する悪循環に陥る人が増えている。
こうした状況を受け、連邦議会では家計債務の救済策を巡る議論が始まった。金利上限の設定や返済条件の変更など約50件の法案が審議対象となっており、ミレイ氏の与党・自由前進(LLA)も議論に参加した。一方、ミレイ氏は未払い債務を借り手と貸し手間の私的問題と位置付け、政府による介入には慎重な姿勢を崩していない。
債務問題は経済政策だけでなく、2027年の大統領選を見据えた政治問題にもなっている。特にミレイ氏を支持した若年層の生活苦が深刻化すれば、政権への支持離れにつながる可能性がある。
世論調査ではミレイ政権の支持率が2025年12月の49%から33%に低下しており、物価安定という成果だけでは雇用や所得、借金に苦しむ国民の不満を抑えきれなくなっている。
