◎ブエノスアイレスの大統領府前にある広場には国旗やフェルナンデス氏の写真を持った支持者が押し寄せ、暴力を非難した。
2022年9月2日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレス中心部、フェルナンデス副大統領の支持者たち(Rodrigo Abd/AP通信)

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで2日、クリスティナ・フェルナンデス(Cristina Fernández)副大統領の暗殺未遂事件と暴力を非難する集会が開催され、数万人が参加した。

フェルナンデス氏は1日、自宅前で支持者に挨拶していた際、拳銃を突き付けられた。夫のアルベルト・フェルナンデス(Alberto Fernandez)大統領によると、この拳銃には実弾が5発装填されていたものの、引き金を引いても弾は発射されなかった。

警察はブラジル国籍のフェルナンド・アンドレス・ザバック(Fernando Andrés Zabak)35歳を逮捕したと発表した。

フェルナンデス氏はまだコメントを発表していないが、2日に自宅を出発する際、支持者に手を振り、無傷であることをアピールした。

一方、大統領は暴力から民主主義を守り、フェルナンデス氏との連帯を示すため、2日を祝日にすると宣言した。

ブエノスアイレスの大統領府前にある広場には国旗やフェルナンデス氏の写真を持った支持者が押し寄せ、暴力を非難した。

ロイター通信の取材に応じた男性は、「副大統領は神に守られている」と語った。「神はテロリストの拳銃を水鉄砲に変えたのです...」

フェルナンデス氏の無実を信じるという女性教師はAP通信の取材に対し、「私たちはクリスティナと共にある」と語った。

フェルナンデス氏は2007~2015年の2期8年にわたり大統領を務めたものの、在任中の汚職疑惑により、検察に禁錮12年を求刑されている。

容疑者はフェルナンデス氏が支持者に囲まれている中で銃を向け、引き金を引いた。弾が発射されなかった原因は明らかにされていない。

国営通信TELAMは容疑者がSNSに投稿したとされる写真を公開している。それにはネオナチに関連するタトゥーと容疑者が映っていた。

またTELAMは警察筋の話を引用し、「容疑者のアパートから実弾100発が見つかった」と報じている。

一部の専門家はこの事件について、「左派政権がアルゼンチン経済を困窮させた結果」と指摘している。

同国の7月のインフレ率は71%に達した。通貨ペソは暴落し、食料・燃料価格の高騰が不況と混乱に拍車をかけている。

フェルナンデス氏は大統領在任中に公的資金を流用した罪に問われ、禁固12年を求刑されている。有罪が確定すれば、政界から追放される見通しだ。

ただし、フェルナンデス氏は副大統領兼「上院議長」であり、在任期間中は議会の免責特権で収監されることはない。

2022年9月2日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレス、支持者に手を振るフェルナンデス副大統領(Getty Images/EPA通信)
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