◎コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡した。
コロンビアの左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」の戦闘員(Getty-Images)

コロンビア政府は10日、同国最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」との和平交渉第2ラウンドが終了し、進展がみられたと発表した。

交渉はメキシコ、ブラジル、ノルウェー、ベネズエラ、チリ、キューバの仲介で先月13日からメキシコで行われていた。

元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領は昨年8月の就任後まもなく、コロンビア内戦を終結させるためにELNとの和平を目指すと宣言し、11月に交渉をスタートさせた。

ELNは1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。

構成員数は2500~4000人と推定され、ベネズエラでも活動し、金鉱山での違法採掘や麻薬密売で利益を上げている。

ELNの交渉担当者は記者会見で、「我々は和平プロセスの達成に必要なよりよい条件を確認し、最初の一歩を踏み出した」と語った。

政府の交渉担当はキューバで開催される第3ラウンドについて、「停戦の実現に向け、より踏み込んだ協議を行うことになる」と述べ、「和平を確立する協定案の起草などを進めることになる」とした。

昨年末にベネズエラの首都カラカスで開催された第1回ラウンドは平行線をたどり、ELNは「停戦は難しい」という見方を示していた。

政府とELNの過去の停戦交渉はELN側の指揮系統の乱れや仲間内の意見の対立などにより頓挫してきた。

ドゥケ(Ivan Duque)前大統領は2019年、首都ボゴタの警察学校がELNに爆破され、士官候補生22人が死亡したことを受け、ELNとの和平交渉を打ち切った。

地元メディアによると、ELNの交渉団は今回の和平交渉に戦闘員の意見を反映させたという。詳細は明らかにされていないものの、ペトロ氏は内戦の終結を公約に掲げているため、ある程度はELNの提案を受け入れると予想されている。

ノルウェーとメキシコ政府は10日、交渉が進展し第3ラウンドに進むことを歓迎した。

ノルウェー外務省は「この和平交渉で人道支援や停戦といった重要なテーマが協議され、進展がみられたことを歓迎する」とツイートした。

アナリストは「停戦が実現するか否かはELNの戦闘員に対する政府の補償にかかっている」と指摘する。ELNは麻薬密売、違法採掘、誘拐などによって資金を調達するテロ集団である。

ペトロ氏は2016年にコロンビア革命軍(FARC)と結んだ和平協定も完全に履行すると約束している。

コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡した。

ELNの指導部は以前、ペトロ政権が麻薬カルテルとも和平協定を結ぶと発言したことに不満を表明し、「革命を目指す戦士」と麻薬密売人を同等とすべきでないと批判していた。

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