◎この決定はジャイール・ボルソナロ大統領の選挙戦に影響を与える可能性がある。
2021年10月15日/ブラジル、首都ブラジリアのプラナルト大統領宮殿、ジャイール・ボルソナロ大統領(Getty Images/AFP通信)

ブラジルの最高裁判所は18日、同国で人気のメッセージングアプリ「テレグラム」にアプリの運用を停止するよう命じた。

最高裁判事は判決文の中で、「テレグラム社はブラジル当局の命令に従わず、偽情報を含むメッセージを削除しなかったため、関係者にアプリを直ちにブロックするよう命じた」と述べた。

この決定はジャイール・ボルソナロ大統領の選挙戦に影響を与える可能性がある。ボルソナロ大統領はこのアプリで100万人以上のフォロワーを獲得し、様々な情報を積極的に発信してきた。

判事は、「テレグラム社はブラジルの法律を軽視し、当局の警告を数えきれないほど無視した」と述べ、同社の対応を非難した。「テレグラムはブラジルの法の支配と相容れません...」

地元メディアによると、テレグラム社は警察、選挙裁判所、最高裁判所の判決や勧告をほぼすべて無視していたという。

最高裁はボルソナロ政権が公式通信網を使って偽情報を流したという疑惑も調査しており、ボルソナロ大統領と激しく対立している。

ボルソナロ大統領は18日、公式ツイッターにテレグラムの個人アカウントのリンクを掲載し、支持者にフォローを呼びかけた。

ブラジルのテレグラムユーザーによると、同アプリは18日午後の時点で普通に利用できるという。

ボルソナロ大統領はツイートの中で、「私たちのテレグラムは国益に関わる重要な情報を毎日発信しています」と述べた。「ようこそ!真実を共有しましょう」

一方、最高裁判事はApple、Google、通信規制当局ANATELにテレグラムのブロックに向けた手続きを5日以内に終えるよう命じた。

ANATELは司法の決定に従うと声明を発表している。

テレグラムは世界中の極右グループの情報発信源になっているため、利用者はボルソナロ大統領の情報を含む様々なフェイクニュースに注意する必要がある。ロイター通信によると、ブラジル連邦警察はこの決定に関する質問に応じなかったという。連邦警察もテレグラムを利用している。

ボルソナロ大統領はここ数カ月、2018年の大統領選挙で電子投票システムが不正操作されたという主張をテレグラムで発信し続けてきた。

また今年の大統領選挙でも同様の問題が発生すると懸念を表明し、電子システムに再集計可能な紙ベースの集約を導入しない限り、開票結果を受け入れないとほのめかしている。

国内の司法専門家はボルソナロ大統領の主張を却下し、多くの野党議員がテレグラムで電子投票に関する誤った情報を繰り返し発信することで、国民に疑念を抱かせようとしているとボルソナロ大統領を非難している。

ボルソナロ大統領は今年、左派のダ・シルバ元大統領の挑戦を受けることになる。主要メディアや新聞の世論調査によると、ボルソナロ大統領の支持率はダ・シルバ元大統領を上回っているという。

ボルソナロ大統領はフェイスブック、ツイッター、ユーチューブの規則に違反する情報を発信し、何度も投稿をブロックされてきた。

政治アナリストでデジタルコミュニケーションの専門家であるパブロ・オルテラド氏は最高裁の決定について、「選挙戦に影響を与える可能性がある」とツイートした。

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